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物流ニュース
TPP参加に賛否両論 農業に対する厳しい意見も
2011年12月27日
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について、政府は11月の閣議で関係国との協議を始めると表明したが、これに対し北海道では農業団体をはじめ、政治、行政、経済団体、消費者団体、労働団体など「オール北海道」で反対ムード一色となっている。
農業をはじめとした第一次産業が基幹産業となっている経済構造が背景にあり、道農政部では、TPPが締結された場合の試算として、「農業産出額など農畜産物の関連産業の影響額、地域経済への影響額を合わせて、単年度で道内に2兆1000億円の影響がある」と算出。また、ある農村を例に挙げ、「農業を中心に運送業、卸業・小売業など多くの仕事と人が関連しており、農業の衰退は地域の崩壊につながりかねない」と危惧を示している。
北ト協でも4月に開催した理事会で「政府から農業政策の具体的なビジョンが示されていない現段階では、TPP参加には反対姿勢を示す」との提案事項を了承。10月には民主党北海道総支部連合会に対し、「農業に壊滅的な打撃を与える施策は講じるべきでない」「道内トラック輸送業界に多大な影響を与えるのは必至」として、TPP交渉参加について慎重な対応をするよう要望した。
しかし、北海道の品目別輸送トン数(平成21年度自動車輸送統計年報)を見ると、穀物は5386t(構成率1.74%)、野菜・果物は6210t(同2.01%)、その他農産物は4446t(同1.44%)、畜産物は5371t(同1.74%)と、全国平均よりも割合は高いものの、機械(同6.05%)、食料工業品(同6.69%)、日用品(同4.67%)などと比較して、決して農産物を多く運んでいるとは言えないのが実態だ。
物流業界はTPPによって受託する業務が増えるなら歓迎、減るなら反対というのが本音のはずで、事業者の声を聞くと農産物の輸送に携わっている会社であっても「TPP反対の風潮に反対する」という意見も聞こえてくる。
道央で農産物をメーンに扱う運送事業者は「このまま何の手立ても打たずに参加すると、農業が大打撃を受けることは間違いなく、うちの売り上げも大きく減る」として今後の動向を注視しているが、「本音を言えば、農業がいつまでも保護されることはあり得ず、参加は時代の流れで仕方がないことだと思っている」と話している。
農業団体の仕事を行っている札幌市の事業者は「厳しい競争にさらされているトラック業界から見ると、これまで農業は守られすぎた。農業を中心として反対の気勢をあげている今の風潮には、心理的に反発してしまう。農産物の扱いが減ったとしても、日用品や雑貨などの扱いを増やしていくつもりだ」と話す。
同じく農業団体をメーンの荷主に持つ同市内の事業者も「うちの荷主は農産物の高付加価値化を進めており、安い海外の商品とかち合うものではないはず。逆に輸出しやすくなるのではないか。参加は、価値の高い農産物を作るという意識の転換を農家に迫るのではないか」としており、道東で農産物を扱う事業者も「荷主に動員されて反対集会に出たが、『自分たちを守れ』と言うだけで、建設的なものではなかった。私よりいい車に乗っている農家もおり、説得力がないというのが本当のところ。渋い運賃しかもらえない荷主に対する反感かもしれない」と話す。
これから海外展開を考えている札幌市の物流システム企業は「周りの声を聞くにあたって、これから間違いなく縮小していく国内経済を保護しようという考えが既にダメ」と述べ、「農業は門外漢だが、一般論として規制や保護で競争力が高まることはあり得ず、弱い産業を国民の負担で維持することは長く続かない。価格で海外の農産物と勝負できないなら、味や品質、安全性で勝負すべき。それさえも勝負できないなら、そもそも価値のないものを作っているということだ」と切り捨てる。この記事へのコメント
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