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    車両有効活用で落とし穴 業界特有の問題が

    2012年1月24日

     
     
     

     トラック運送業界にとって、コスト削減は非常に難しい課題でもある。こうした中、事業者が注力している一つが、車両の有効活用による積載効率の向上だ。商売道具であるトラックをいかに効率よく活用するかを考えた取り組みで、客観的にみれば利益は上がる。しかし、業界特有の問題も出てくる。
     埼玉県の事業者は、この問題を解決できず、結局、車両の有効活用を断念せざるを得なかったという。


     同社は雑貨輸送をメーンに、中距離から地場輸送まで幅広くこなしている。基本的に、それぞれのドライバーが会社から与えられたトラックを管理している。「これまでそうしたやり方で何も問題を感じなかった」という社長だったが昨今、労働時間の規制が厳しくなり、ドライバーの労働環境の整備を余儀なくされた。「過労とまではいかないが、決して適正な労働時間ではなかった」と労働時間の改善に乗り出す。
     ドライバー一人の働ける時間がこれまでよりも少なくなるのは明らかで、それによる 売り上げ減も避けられない。同社長は売り上げを落とさずに利益を確保する方法を模索した。その結果、トラックを有効活用するというやり方に行き着いた。
     「労働時間がこれまでよりも短くなった以上、それ以外の方法はなかった」と振り返る同社長は、複数のドライバーで1台のトラックを使い回すというやり方に切り替えた。「トラックを有効活用すれば積載効率も上がる。さらに売り上げも上がるし、無駄も省ける。机上で計算すれば、内容はこれまでよりも確実に良くなると考えていた」という。ところが計算通りにはいかず、問題ばかりが目立ち始めたという。
     スタートするに当たり、ドライバーから反対の声が上がった。自分の管理しているトラックを他人に運転させたくなかったからだ。「もともと車が好きでドライバーをやっているものが多い。自分に与えられたトラックを他人に運転されるのは嫌だろう」という同社長自身も、自らハンドルを握ってきただけに、そうした気持ちを理解できた。しかし、考えを変えなければ生き残っていけない。
     ドライバーらは同社長の説得に応じたが、その後も問題はなくならなかった。最も大きな問題は、責任感の欠如だった。「トラックをどこかでぶつけてきても誰も報告しない。キズを見つけて問いただしても、誰も自分のせいだと白状する者はいなかった」という。
     「複数で管理していると、誰のせいか分からない。ドライバーらが責任逃れをはじめた」という。その結果、トラックが明らかに汚くなったという。
     加えて、仕事への責任感も薄れていった。「自分のトラックということで、車両管理にも、そして仕事にも責任を持って取り組んでいたものが、車両、仕事のいずれの責任感も薄れてしまった」と同社長はこぼす。「このままでは、さらにおかしくなる」と一人1台という元のスタイルに戻した。
     ドライバーの意識を変えられなかったことが、断念せざるを得なかった理由となったが、「うちは車両の有効活用よりも、ドライバーの質で勝負していく」と話している。

     
     
     
     

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