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    運転者不足が深刻化 中型免許制度の影響

    2012年2月22日

     
     
     

     中型免許制度の影響によるドライバー不足が各地で深刻化しつつある。少子高齢化が進む中、若者の「運転免許離れ」も加わり、若年ドライバーが集まらない。さらに過酷な労働環境、低賃金といったイメージから、トラックドライバーそのものが「魅力のない職業」となってしまったことも背景にある。
     中型免許の影響はとくに首都圏で目立ち、「このままでは人手不足による労務倒産も現実になる」と危惧する事業者も多い。東ト協、埼ト協などは中型免許制度の見直しを求めているが「早急に全国規模で展開すべき」との声が高まっている。
     「15台が全く稼働できず、まさに『展示場』状態だ」と話すのは、エムケー物流(福島県)の山下義博社長。同社が保有する110台は、すべて4トン車と大型車。「2年ほど前から、いくら募集しても中型以上の免許保持者が来なくなった」と嘆く。


     昨年から、新卒者を含めて「幅広く採用する」ことにした。新普通免許を持つ人なら倉庫に配置し、実務経験を積ませながら中型免許取得をサポート。取得後、輸送業務に回す仕組みだ。新規顧客が拡大しており、「増車したい。しかし現状では困難。止まっている車を動かすため、今すぐ20人は欲しい」。
     ドライバー不足対応では、24時間運行可能な取引先には「2車3人体制」などでしのいでいる。広く応募してもらえるよう歩合給から「基本給と時間軸」による給与体系に変えた。「待機時間も労働時間だし、残業代も払わなければならない。初めは大変だったが、今はむしろ足りない要員での運行計画が工夫しやすくなった。ドライバーも『時間ではっきりする』と喜んでいる」という。「中型免許はもともと事故防止対策のはず。それがコストをかけてコンプライアンスしている事業者に人手不足を引き起こしているのは皮肉。国はもっと違法な事業者に厳しくすべき」と山下氏は訴える。
     埼玉県草加市に本社を置くA社(91台保有)も中型免許制度の影響が顕著に出始めた。「年齢・経験・性別不問で募集をかけても、中型免許保持者が全く集まらず、10台が完全にストップしている。1台当たり月間90万円程度の売り上げだから、まるまる900万円の減収だ。それに毎月の募集広告料金もばかにならない」という。
     同社でも管理職が運転したり、24時間体制が可能なケースで昼夜交代制を導入。車両の稼働率向上を図っているが、同時にコストもアップ。経営を圧迫している。
     このほか、「冷蔵車なので新普免では採用が限られ、人材確保が困難になった」(千葉)、「2トンユニックが運転できず困っている。何とか総重量を引き上げてほしい」(神奈川)など首都圏各地で実害が増え始めた。
     東ト協は「中型免許制度の見直しに向けた提言」の中で、中型免許の範囲は「2トン車を除外できるよう車両総重量の下限を6.5トン以上とすべき」と主張。また、新卒ドライバーの参入障壁となる「20歳以上かつ経験2年以上の要件は廃止すべき」とした。
     全ト協では、「昨年2月に警察庁に要望書を提出、東ト協や埼ト協などでは熱心に調査や検討を重ねていると聞く。全ト協としても、具体的な要望活動に向けて協議しているところ。今後、具体的に動いていきたい」と話している。

     
     
     
     

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