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    オール歩合制で時間やりくり 行政、労使間トラブル回避

    2012年2月23日

     
     
     

     「最近は若年層を中心に『給料はそこそこで構わないが、休みはしっかりと保証してほしい』という働き手が増えている」と、面接を終えてミーティング室から出てきた岡山県の運送会社社長。
     「それ以上に多いのが、失業保険をもらうためにハローワークが紹介する求人企業に形だけの面接を受けに来る連中。冷やかし半分よりもタチが悪い」とぶちまける。同社は長年、トラック運送業界では少数派となる「固定給制」を採ってきたが、「休日や残業も含めて行政、さらに労働者側も細かく時間にこだわるのであれば仕方がない」と昨年からオール歩合制へ切り替えた。


     長距離便と比べて売り上げの金額に差が生じることから、地場輸送の仕事については一定額の基本給に歩合給をプラスするという方法を採用してきた運送会社が少なくなかった。しかし、未払い賃金問題など労使間のトラブルが増えるなかで、運行距離に関係なく「オール歩合制」を敷く例が目立つようになってきた。
     トラック事業を対象にした労務関係の勉強会でも、「最低賃金の計算に含めることができない皆勤や家族などの手当を一切廃止すべき」としたうえで、最低賃金を意識した労働時間管理の徹底を説く光景が見られる。
     賃金体系へのメス入れに際して、当初は岡山県の社長も長距離トラックだけをオール歩合に変更する考えだった。「悩んだ末に全ドライバーを対象とすることに決めた。長距離と地場を組み合わせることで時間を短縮する必要もあったし、今のところは問題も出ていない」という。歩合計算に基づいて支払われる金額を総労働時間で割り、「この段階で基準内賃金と時間外賃金に分ける作業は必要になるが、これはドライバーには関係のない話」と話す。
     同業者のなかには「ドライバーを請負業者として使い、賃金ではなく外注の委託費で支払うというケースや、昔ながらの個人償却制、いまだに名義貸しを続けているところもある」という。しかし、「カネを稼ぐのはドライバーであり、大切にしたいという思いが強かった」と、固定給にこだわってきた昨年までの思いを口にする。
     広島県の運送会社も数年前からオール歩合制を敷いている。社長によれば「仕組み作りの段階から労基署と相談を重ね、最終的な賃金規定(オール歩合制)にもOKサインをもらった」とのこと。同社の場合は「大型トラック」「4トン車」を区分し、それぞれの歩合率を設定。売り上げの伸びる長距離仕事が特定のドライバーに偏らないようにするため、「運行費の支払い状況を見ながらバランスを取る」という。
     ただ、やはり同社の場合もオール歩合給で支払ったにもかかわらず、経理上の処理は基準内賃金と時間外賃金に仕分けている様子。「支払総額を拘束時間で割って最低賃金(時給)がクリアできていれば問題はないし、仮に最低賃金割れになっていた場合は拘束時間を減らす。残業時間を減らす方法もあるが、その場合は割増分の0.25が消えるだけで、拘束時間なら1.0と効果は大きくなる」と説明する。
     デジタコが搭載されたトラックなどでは時間が鮮明に記録されるため、「出発時間をドライバー任せにすることは許されない時代であり、徹底した時間管理は避けて通れない」と話す経営者は多い。そうしたなかで登場したギリギリのラインが「総支給と拘束時間によってドライバーごとの時間単価がわかるが、もし最低賃金を割っているような場合には(パソコンを使って)拘束時間を操作(カット)しながら、数字的にクリア(最低賃金)できるポイントで『よし』とする」という現行スタイルのようだ。

     
     
     
     

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