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    一歩も二歩も先ゆく産廃業界 事故減へ責任の所在を明確に

    2012年6月11日

     
     
     

     産業廃棄物の関連事業も手掛けている岡山市の運送会社社長は「かつてバカにしてきたゴミ屋が着実に成長する一方で、相変わらずトラックは底辺の仕事に甘んじている」とぶちまける。
     関越道バス事故の実態解明にメスが入れば入るだけ、零細なトラック事業者の経営ぶりが重なって見える。異常なまでに安さを求めれば、どこかにひずみが生じる。長時間労働や、いびつな労使関係の個別調査とは別に、そうした実態が特異ケースとはとらえられない業界が抱える根本に踏み込まない限りは、悲惨な事故が今後も続く可能性は否定できない。


     「最近は産廃の関係者と話す機会が増えており、いい刺激を受けている」と岡山市の社長。規制緩和が著しいトラック事業とは違い、公害や不法投棄などの問題もあって事業規制が厳格化される一途だが、「そうかといって既得権益に守られることもなく、みんな必死なのはトラックと同じ。違うのは事業者レベルの意識の高さと、マニフェストによって排出者にまで責任が厳しく問われる点かもしれない」と話す。
     トラック事業が許可制に変わり、新規開業者のなだれ込みが始まった平成2年、産廃業界でも新しい取り組みが動き出した。「排出事業者の責任で適正に処理しなければならない」という法の規定に沿って誕生したマニフェスト制度は、収集・運搬業者や中間処理業者、最終処分などを経由した伝票が再び排出事業者の手元に戻る流れを作ることで不法投棄を監視すると同時に、排出元に「最後まで責任を持つ」という義務を求めている。
     産廃業界の関係者によれば「そうはいっても明らかな過失がない限り、排出者に不法投棄などの責任を負わせることは簡単ではない」と説明。ただ、「実名公表されるケースも少なくないうえ、場合によっては罰則も適用されるなど不法行為の抑止力として効果を与えている」と同関係者。
     一方、かねて「荷主にも両罰規定の適用が必要」と訴えてきた広島市の運送会社社長も、川下の事業者に責任を押し付けるだけの安全対策に疑問を感じてきた。
     「例えば過積載の両罰規定にしても、それはドライバーと運送会社の両方を罰することだという。本来の両罰というのは運ぶ側と、運ばせた側の双方という意味であるべきだ」というのが主張で、「マニフェストで荷主(排出者)に最終責任を持たせているという意味ではゴミ業界のほうが一歩も二歩も進んでいる」と断じる。
     先のバス事故に絡んで運送業界の不適切な実態が次々と明るみに出ているが、安全確保が最優先される事業という点では旅客も貨物も、産廃業界も同じだろう。「バス業界でいえば旅行会社、トラックでは取扱事業者などの中間業者も含めて責任の所在を明確にしない限りは、トカゲのしっぽを切るように重大事故が表面的に解決されるだけでしかない」(同)と語気を荒げている。

     
     
     
     

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