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    「市場構造の健全化」へ 「退出支援」必要か不要か

    2012年11月2日

     
     
     

     全ト協は今夏、「市場構造の健全化等に向けた退出希望事業者への支援について」と題する文章が入った意見書を発表、ホームページに掲載している。各事業者レベルでも、「あの会社はもう、もたない」といった会話が秋以降、頻繁に飛び交う。「すべての事業者が食えなくなったいま、廃業を後押ししたほうが国や業界全体としては得策」といった価値観が再び頭をもたげてきている。


     国交省の「最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ」に対して、全ト協は7月30日付で意見をとりまとめ文書を出している。その中での報告の一節。「退出支援のための相談窓口設置等の支援が必要とする意見は20協会ある一方で、必要ないという意見も14協会ある」。
     低運賃を助長したり違法行為前提でのトラック運行が、業界秩序を一層ダメにするといった考えが根底にある「市場構造の健全化」。構造を健全化するためには、個々の事業者に廃業してもらったほうが全体の利益にもつながる。そうは理解していても、個別の事業者に思いを致すとき、そうも言いきれない──。退出支援が必要か否かを巡る調査に対する20協会と14協会という数字は、業界のそうした逡巡の表れ──。ある事業協同組合の幹部はそう見る。
     全ト協の報告は続く。「…(中略)したがって交付金活用については否定的であるものの、退出支援のための相談窓口、および退出事業者の従業員転職支援窓口を設置すべきである、としたい」。退出支援、退出(希望)事業者といった言葉を用いながら、まず窓口を作ることを公的機関に求めている。
     各事業者のレベルではこうした議論はむしろ当たり前のようになされてきた。工業製品などを輸送する運送会社の社長が今夏、倒れていまだに復帰できないでいる。同社は、取引先との折衝、価格交渉から実際の金銭管理に至るまですべて社長が管理していた。
     従業員では対応しきれず社長夫人が出てくることに。しかし、運賃一つ提示できず、困り果てた夫人は近隣の運送会社に運賃から仕事の内容、従業員の労務管理に至るまで全て頼ることになった。
     こうした状況を知った第三者の運送会社は、頼られている会社に対して、「会社を吸収・合併してやれよ」とささやく。だが、負債の内容などが詳らかにならない限り前に進まない。第三者の運送経営者は「こうした状況に何らかの公的な支援があれば…」と話す。
     同じく機械製品輸送の運送会社社長は数年前から、「息子にはもう、戻ってきてくれとは言わなくなった」と周囲に話していた。海外でボランティア活動を経て現地で就職した息子に、先の見えない運送業界で経営をしろとは言えなくなったというのだ。
     その社長が今春、「鬱病」と診断された。ご多分に漏れず荷主からの物量が減っているという社長は、「後継者を作ってこなかった私が悪かった。しかし、私が何もやる気が起きない以上、なすすべが考えられない」。廃業するための法的手続きすら煩わしい状態だ。
     例に挙げたような状況を他人事と捉えている経営者は、今や少ない。「市場構造の健全化」といった価値観と対極にある、こうした感情をすくい上げることなしに、ことは進まないようだ。

     
     
     
     
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