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    なくならない荷待ち時間 時間指定意味なし

    2012年12月27日

     
     
     

     トラック運転者の労働時間の中には、運転や荷扱いなどの作業時間とともに荷待ち時間が伴う。この荷待ち時間は年々長くなっていると指摘する事業者もいる。荷待ち時間は拘束時間、労働時間の長時間化を招き、労務費の負担増につながっていく。大半が運賃の中に含まれているため、「仕事を切られることを考えると強気に出られない」と荷主側に待ち時間の負担を求めることは難しいのが現状だ。
     車両15台で事業展開する大阪の運送会社。9月末、4トン車で広島へ荷物を運送した後、大手取扱専業者から受けた帰り荷の積み地へ赴いた。運賃2万2000円の荷物の積み地は福山市で、指定時間通り午後4時に入庫。しかし、小さいホームに先着のトラックがごった返しており、荷物が積み上がったのは同10時だった。


     納品先である神戸市北区の衣料品大手の物流センターへは、翌朝午前6時の時間指定があったが、納品先で受付するときには既にトラックは40台ほど待機しており、結局、午後3時になってようやく荷物を下ろすことできた。
     運送会社社長は「午前9時に空車になると想定して、元請けの運送会社に『昼までには宵積みに入る』と連絡していたが…」と、地元での宵積みに間に合わず仕事をキャンセル。それ以来、仕事が来なくなったという。
     衣料品を扱う荷主は店舗の急拡大とともに物流センターでの取扱量が年々膨れあがっており、同業者によると「4〜5時間待ちは珍しくなく、12時間待ちの物流センターもあり、運転者泣かせで有名」とのこと。運送会社社長は「長時間車を待たせても荷主は平気で、補償一つない。時間指定はあってないようなもの」と憤る。また、「世間はIT化が進み迅速化されているが、運送業は30年前も今も変わらない」とボヤく。
     待ち時間で頭を悩ます事業者は少なくない。関西の別の運送事業者は「あるスーパーでは午前8時の時間指定で、荷下ろしが昼までかかるのはザラ。夕方になることもある。2〜3台分のホームしかないところに30〜40台の車が並んでおり、作業スタッフは1〜2人しかいない」と話す。
     大阪のある運送会社では家電量販店への納品を行っているが、配送元の大手物流会社の出荷担当者が残業代欲しさに、わざとだらだらと時間を過ごし、運転者の拘束時間が延びていると嘆く。
     荷物の積み下ろしは基本的にトラックの先着順。待機中に仮眠を取ると後から来たトラックに順番を抜かされるので、ゆっくり仮眠も取れないことも。寝不足で居眠りによる事故を誘発していると指摘する関係者もいる。
     衣料品大手の物流センターへ納品した事業者社長は「運転者が犠牲になっている。平成11年の公示運賃には車両留置料が記されているが、現実的に荷主から収受することは不可能。待機料がないため荷主はやりたい放題。積み待ちは積むところ、下ろし待ちは下ろすところの責任を明確にし、待機料を発生させれば、荷主も計画を立てて入庫させるはず」と強調する。
     地場輸送でも待ち時間が長いため、宵積み後も自宅に帰らず、そのまま下ろし地へ直行する事業者も少なくない。

     
     
     
     

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