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    NOx・PM問題 運送事業者に新たな負担

    2013年1月10日

     
     
     

     自動車NOx・PM法に基づいて9年前に自治体が定めたNOxとPMの排出総量の数値までに、実際の排出量が低く保たれているにもかかわらず、対策が本来目的とする環境基準が達成できていない状況があることが、自治体の資料から分かった。環境部局の自治体担当者のなかにも、9年前の削減数値の設定手法が適当だったのかを疑問視する向きがある。しかし一方で関係自治体は、2020年を目標年度とする新たな削減数値作りに余念がない。計画値と実際値の整合性の検証がないまま、環境基準という錦の御旗のもとで自動車ユーザーに新たな負担が発生しようとしている。


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     公害問題の象徴となった尼崎市を抱える兵庫県。県は03年8月、自動車由来のNOxとPMに関する「総量削減計画」を策定。その中に、本来の目的である環境基準達成のために必要なNOxとPMの削減量を明記した。10年度までにNOxは年間1万2000トンまでに、PMは同トンまでにそれぞれ削減するというものだ。そのため、特にトラック事業者などがトラックの代替えなどを求められたことは記憶に新しい。では、その削減量はどうなったのか。
     自治体が環境省に進捗状況を報告する「進行管理調査」という文書がある。昨年度、兵庫県から報告された文書によると、NOxが9587トン、PMが460.7トンとなっている。03年の計画から見ると、NOxは計画値を大きく下回って達成、一方のPMは30トン程度非達成という結果に分かれた。
     では、本来目的の環境基準の達成状況はどうか。近畿地方整備局が今夏に出した調査などによると、NOxは管内の自動車排ガス専門の測定局2局で未達成。PMは全局で達成。本来目的の環境基準の達成状況と、その手段と位置づけられる総量の削減状況が錯綜する状況となった。
     県大気環境係の職員は、こうした状況について「9年前の計画数値を出した算定式の立て方が適当かどうか。算定のシミュレーションが(環境基準測定に影響を与える)道路構造までを加味しているとは思えない」と話す。だが、数値の整合性を検討する状況にはなっていないという。
     大阪府などでも似た状況になっていることは、府の公表資料などからも読み取れる。
     11月下旬。兵庫県担当者と、NOx・PM法の対策地域にあたる市町の担当者が神戸市内に集った。法に定められた20年を目標年度とする削減計画を立てるための準備的会合だ。県は削減計画と環境基準達成状況の整合性を検証しないまま、次の計画を立てることになり、計画の骨子までは既に公表されている。
    ■計画値、実測値、環境基準 3セットで監視の目を
     環境基準達成という大きな目標のために代替えなどのコスト負担を強いられてきたディーゼル車ユーザー。兵ト協に設ける環境対策委員会でもこれまでに数回、計画値と実際の値に関する整合性や、環境基準との関わりに関して会員から声が上がった経緯はある。しかし、大きな議題になることはなかった。
     委員会に所属し、発言をしてきた会員はあきれ返った様子だ。計画値、実測値、環境基準をセットにした資料など、これまで一度も目にしたことがないからだ。会員は、「県の資料作りは、県民やディーゼル車ユーザーの視点ではない。なぜ、三つの数値を同じ資料にまとめて出すことで、県民に分かりやすくしようとしないのか」。
     会員は次のようにも主張する。計画を作り、それを実行へと走らせ、数年後に結果を見る。そんな簡単な原理で三つの数値は結ばれているものの、日々を「大気環境」で頭いっぱいに考えていなければ、適宜公表される数値の整合性にはなかなか気づくものではない。また、自動車排ガスに悩む沿道住民も実効性のない行政の計画が進行中だと分かれば、数年後に、その結果を見るよりも別の実効性ある計画に差し替えてもらいたいと主張するのではないか。
     今回、兵庫県などNOx・PM法の対策地域を抱える自治体が一斉に20年度目標の削減計画を作っているのは、一昨年3月に環境省が法の「基本方針」を改定したことによる。この基本方針のなかにも、20年度までに環境基準を「確保」するといった、あいまいな表現があることが関係者から指摘されている。自治体関係者らは近年、問題視される大陸からの黄砂などが大気環境に影響を与えている事実などを挙げ、「数年先の車の通行台数や気象条件なども加味しながらの数値作りには、ある程度の幅は必要」と見る。
     しかし、計画と実行、それに結果の検証ということと、「あいまいさ」「ある程度の幅」とは次元が違う。自動車ユーザーや沿道住民がもっと監視の目を向ける必要があると感じる。

     
     
     
     
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