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    大手が求める零細企業 業績好調の陰で「しわ寄せ」

    2013年1月9日

     
     
     

     車両台数50台以下の運送事業者がトラック運送業界の9割を占める。そのうち約6割が営業赤字(全ト協平成22年度経営分析報告書)というデータがある一方で、大手信用調査会社がこのほどまとめた中堅・大手物流業者の収益調査では、2期連続で黒字を確保した会社は8割を超えている。中堅・大手物流業者の業績好調の陰で、中小・零細事業者がしわ寄せを受けていると指摘する声も少なくない。
     東京商工リサーチが公表した同23年の「道路貨物運送事業者の動向」調査によると、中堅・大手300社のうち、前年度比増収が232社(77%)、増益が149社(50%)で、2期連続で黒字を確保した会社は245社(82%)と8割を超えており、車両台数50台以下の事業者とは対照的な収益データとなっている。


     「仕入れの戦略に躍起になっている」と、ある大手運送会社と取引のあった運送会社によると、大手は零細業者を探すのに力を入れていると明かす。
     大手運送会社が下請け業者に求めるのは、貨物保険と登記簿だけ。信用と事故時賠償能力を確かめる。社会保険の加入の有無などは調べることはないという。「社会保険に入られたら傭車コストが上がり、取扱手数料が下がってしまう」と説明する。
     大手の担当者は、個人名で新規許可を取っている保有台数5台程度の運送会社を探している。「50台、100台と保有台数を抱えているところは拒否してくるため、大手としては小規模事業者が増えて欲しい。福利厚生費をかける事業者は要らない」という。
     仕事を受ける事業者にとっても、「ネームバリューのある協力業者にのぼせ上がってしまう。支払いも月末締めの翌月末払いと早く、入金面でも有利。事業を始めたところには魅力的に映る」といい、お互いに求めるものは合致する。しかし、大手は「低運賃で違反しても全くフォローはない。完全に使い捨て。順番に下請け事業者を変えていく」と話す。
     また、別の運送会社によると、大手の中にはリースを組んで車の所有者になり、車両のリース枠がない零細事業者と、リース契約を結び、リース代と運賃をはねてリスクなしで営業展開しているところもある。
     仕入れ戦略とともに、コンプライアンスのために協力会社を使うケースもあるが、大手でも子会社を通じてコンプライアンスの動きがある。
     倉庫業中心の大手の場合、自社トラックを近年、大幅に減車している。大手は第一グループと呼ばれ、第二グループが大手100%出資の子会社。第二グループが獲得してきた仕事を第一グループが受け、第二グループへ仕事を流している。
     リストラ組で構成される第二グループは、ピンハネされた金額で事業展開を余儀なくされている。「第二グループは月の拘束時間である293時間を常時超えている」と第二グループ出身者は明かす。
     業界関係者は、「大手に対しては公的機関からの監査の目が光り、コンプライアンスに取り組む立場。3PL事業と称して大きな収益を上げているが、幹線輸送など労働時間が長く採算が合わない仕事は下請けに任せている。自社は残業代が出ないところで仕事をする。大きく儲けるには運送会社が増え、競争してくれる方が都合がいい」と指摘する。

     
     
     
     

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