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    札幌市の地下鉄物流、「収支合わない」が問題に

    2013年2月28日

     
     
     

     貨物輸送のモードとして一般的なのは、トラック、軽自動車、バイク、JR、船舶、飛行機など。最近では都市部を中心に自転車やリヤカーなどの活用も進んでいる。札幌市では一昨年度の9月と3月に、全国初となる「市営地下鉄での貨物輸送」の社会実験を行った。地下鉄は新たな輸送モードとなりうるのか、実用化の可能性はあるのか、実験後の動向を調べた。


     札幌市では平成22年度、都市部の渋滞緩和やCO2排出量の軽減を目的として、ヤマト運輸や建設コンサル企業などと協力し、地下鉄物流の実験を行った。環境にやさしい都市圏の新しい物流のあり方を検討するもので、ヤマト運輸の「札幌ベース」(厚別区)から「大通宅急便センター」(中央区)間で行っていた宅配便やメール便のトラック輸送の一部を、乗客がいる地下鉄での輸送に切り替えた。輸送区間は、東西線「新さっぽろ駅」から「大通駅」の約12km。地下鉄輸送向けに改良した専用キャリーを活用し、乗車率の低い時間帯にヤマトの配達員が荷物を運んだ。
     同市市長政策室政策企画部企画課によると、二度の実験では「乗客と荷物を同じ車両にのせた時の安全面、運行面の影響を調べ、大きな事故やクレームがなく終了した。地下鉄の乗客や実験を知った市民のアンケートでも9割以上が地下鉄物流に賛成との回答を得た」という結果を得たが、その後、約2年が経過しても実用化に向けた取り組みは進んでいない。
     今後の方向性について、同課では「地下鉄で貨物輸送をすること自体は可能だと分かったが、事業として具体化することは積極的には考えていない」と話す。その理由として、具体化するに際し、いくつかのハードルがあったと説明する。最も大きいのは収支が合わないという基本的な問題だ。「実際に運ぶのは民間の物流事業者なので、採算ベースにのせる必要があるが、実験の結果、採算に合うだけの荷物のボリュームが確保できないと判断した。1日1000〜1500個くらいの荷物が最低限必要になると思うが、このメドが立たなかった」。
     また、インフラ面での不備もあるという。「仮に荷物の確保が出来たとしても、それだけ大量のモノを運ぶにあたり、地下鉄や駅構内のスペースや施設が十分ではないと判断した。乗客との交錯時の安全性や、荷物専用のエレベーターがないなど、今の状況では対応しきれない部分があった」としている。
     同課では「このような問題点が残ったので、地下鉄物流の実用化は現時点では考えておらず、これ以上の実験の予定もない。採算やインフラ面の問題をクリアする形でなければ、事業を進めることはできない」と説明する。ただ、「ヤマト以外の事業者でも、このような問題点をクリアした事業の計画を構想するなら、市として詳しく話を聞くことはできる」としている。
     実験に協力した建設コンサル会社は「世界的に先進的な事例で、海外のロジスティクスの学会で発表し、驚くほど反響があった」と話していたが、地下鉄物流の具体化は、どうやらしばらくは難しいようだ。

     
     
     
     
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