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    書面契約義務化「馴染まない」 否定的な中小事業者

    2013年3月18日

     
     
     

     国交省がトラック運送取引で「書面契約の義務化」を検討している。一般貸切旅客自動車運送事業では昨年7月から義務化がスタートしており、この動きはトラックにも適用される可能性が高い。
     義務化により、かねて業界の課題だった「契約に基づかない付帯作業」について、その範囲や役割、費用の分担などが明確となるほか、出発や到着の時間を事前に明示にすることで、長時間の手待ちなど拘束時間の短縮も期待できる。しかし、中小の事業者からは「作成や交付、保存といった事務負担が増えて面倒だ」「スポットの案件として電話連絡が来ると即決しているので、義務化されるとやりにくくなる」といった声が聞こえてくる。


     一般的な商取引では常識とされる書面契約だが、「急な依頼が多い」「口約束だけでも済んできた」「荷主の構内で言われるままに作業をさせられるが、文句が言いにくい」といった業界慣行が続いてきたため、義務化は馴染まないと捉えている事業者が多くいる。
     札幌市の大手荷主の物流担当者は、「個建て、距離、時間、月間チャーターなど料金体系は様々だが、内部統制上、全て書面で取引しなければならないので特に変化はない。どうしても間に合わない場合、例外的に事後に覚書を交わして対応している。付帯作業については曖昧になっているが、これは現場レベルで話し合って決めていけばいい。義務化は責任を明確にするいい機会だ」と捉えている。
     同市の元請け会社は、「継続的な取引の場合は、荷主にも下請け事業者にも事前に契約書を交わしているが、スポットの場合、全て事前に書面を交わすことは不可能」と説明し、「例外的なスポット便を除外するなど、ある程度柔軟な対応をしてもらえるなら、それほど大きな問題ではない」と話す。同市の中堅会社も「大抵の場合、荷主から事前に注文書が来るが、急な運送を求められることもあるので、その時は事務的な対応はできない。それでも書面契約はあってしかるべきだ」と前向きに捉える。
     一方、これに否定的な見方をするのが中小事業者だ。同市内の事業者の声を拾うと、「面倒だ」「事務員の負担が大きすぎる」「スポットが多いので不可能」「これまで口約束で困ったことは、それほどない」といった意見が圧倒的。中には、「荷主から言われたことを、文句を言わずにすぐにやる、という手軽さを売りにしてきた。これを書面でという話になると、我が社の強みが消されてしまう」「どうせ書面を交わしても荷主が無理を言ってくるのは変わらない。契約にないことを求められても、荷主を訴えることなどできないので無意味だ」と話す事業者もいた。
     運送業界に詳しい行政書士は、「クライアントを見ても、書面契約をきちんとしている会社はほとんどない。業界の慣行として馴染まないとしか言いようがなく、いきなり末端の零細事業者に求めるのは酷だ」と捉えており、別の行政書士も「書面契約を義務化してしまうと、中小事業者の負担が大きすぎて、徹底は不可能だろう。恐らく行政処分の対象にはならないのではないか」と見る。

     
     
     
     

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