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    荷主の関与が大きく影響 意識欠如で過積載横行

    2013年5月20日

     
     
     

     摘発件数の減少などを根拠に、「もうそんな荷主はほとんどなくなっている」と見られているのが過積載。しかし、その漠然とした感覚の裏側で、例えば、「水モノの積載が増える夏が怖い」などと話す運送事業者が絶えない。過積載が、運送会社やドライバーの一方的な意思で作り出されるものではなく、荷主の関与が大きく影響するとの認識は、貨物自動車運送事業法や道路交通法の条文からも明らかだが、一部の荷主はそうした意識が欠如している事情が浮かび上がる。
     神戸市内の運送事業者は、スーパーマーケットなどを主に、食品を扱う荷主の実運送を受託する同業者から、相談を受けることが多くなっている。その一つが過積載だ。
     「この夏も怖いね」「対策として5トン車、6トン車を導入しようか」。ビールやジュース、麺つゆといった水モノが増える夏は、荷量はともかく積載トン数が増える。関係者によると、スーパーの物流センターからの1日の出荷は通常、同じトラックが2便、3便と複数回配送することで成り立っている。夏季以外は軽い商品と一緒に水モノを混載することが可能だが、水モノの物量が異常に膨らむ夏季は「水モノ専用便」が3便目以降に出てきてしまうという。


     この大手スーパーのセンター業務に詳しい関係者は「センター業務を受注する物流会社も、水モノなどの受注はしたくないはず」と話す。物流会社がスーパーから請け負う業務の多くは、センターを通過した物量の商品価格に対する比率で請負価格が決まることが多いという。水モノなど重量のある商品を出荷しても、作業時間や人件費がかさむ割に請負価格は大きくない。
     こうした事情はトラックへの積載の場面でも大きく反映され、関係者は「3便目で運びきれない水モノは4便目に載せることで解消されるが、4便目のトラック運賃を捻出できるような請負価格を、物流会社が収受できていない」と話す。
     3便目は結局、「4便目は出せない」と上から単純に指示されている現場担当者が、トラックに積み込んでしまい過積載となることが多いという。ある運送事業者は、「実運送を担う事業者にはトン数のことは知らされていないので、現在、ウチのトラックが何を何キロ積んでいるかは分からない状態」と話す。
     運送事業者によると、ドライバーが過積載に気づき、物流会社に「これはひどい。下ろしてもらう」と昨夏に一度抗議をしたところ、今後の取引に影響もあるといったニュアンスの言葉が物流会社から返ってきたという。事業者は、「やはり法律で縛ってもらわないと。取引の話になると我々にはどうしようもない」と話す。
    ■実効性のない制度
     貨物自動車運送事業法64条には、過積載や速度超過などを事業者に強要した場合の「荷主への勧告」が明文化されている。近畿運輸局によると、このスーパーも含めて荷主への勧告をした実績は1990年の法施行以来、皆無だという。
     同局によると、荷主勧告について国交省内で取り決めた通達のなかには、一度目の過積載などの違反で荷主の関与が認められた場合、過積載を強要しないよう求める要請書を荷主に出すことを各運輸局に求めている。同局長名で発出した要請書の件数は05年度から記録が残っており、12年度までで302件ある。最長で6年以内に3度の過積載強要があった場合、荷主勧告が出されることとなっている。
     荷主による強要などを禁じた同様の法規定は道交法58条の5にもある。しかし、過積載などの交通捜査で「定評」のある兵庫県警では、同条を適用して荷主を検挙した事例について「検挙は過去にない」(交通指導課)と本紙取材に回答。
     こうした実効性のない法の条文にメスを入れる取り組みは、国交省に設けた「トラック産業に係る取組作業部会」で話し合われ、今年2月に「荷主にペナルティを与え、トラック事業者が損をしない工夫を」などと委員から意見が出された。具体案として、過積載などの強要があったと認められる場合、初めてでも荷主勧告ができる「荷主の行為の類型化」の作業を進めているとされる。
     ただ、ある業界関係者は、「荷主といっても、大手と中小で同じ基準を定めた場合、圧倒的に勧告を受ける可能性の高い大手荷主に不利な制度になるなど、本当に制度改革を進める気があるのか疑問も多い。これまでも制度があったにもかかわらず、要請書の発出が勧告の要件とされていたような骨抜き条項が入り込まないよう、細部までをチェックしていきたい」と話している。

     
     
     
     
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