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    勇気をくれた桜 底をつく寸前、奇跡の融資

    2013年8月23日

     
     
     

     「ああ、今年もこの桜を見ることができた」–。
     ロジ・コンビニエンス(兵庫県尼崎市)の佐野真二社長は、毎年、オフィスの窓から見える桜並木を眺め、12年前を振り返る。
     01年10月。当時勤めていた求荷求車サービスのベンチャー企業を、社長の方針転換と折り合えなかったことで、同僚たちとともに独立。中小運送会社のIT化と資材購入の支援を主事業として新会社を立ちあげた。弱冠36歳。


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     ひと月に20件を越えるHP制作を受注するなど、「最初は順調に見えた」が、「思ったほど売上が伸びなかった」。一方、「給料、家賃、諸々の経費、出て行くお金は想像以上」。会社設立時に、立ち上げメンバーや取引先、協力会社から募った資本金1500万円が、「わずか半年でみるみるうちに減っていった」。
     先頭に立ち無我夢中で営業に走り回るが、売上は一向に上向かず。「どう考えても給料遅配でもしない限り、あと2ー3か月で底をつく。もうダメだ」。
     1人オフィスで途方に暮れていたとき、若い銀行マンが飛び込んできた。「資金需要はありませんか」。「できて半年で潰れかけているうちのような会社に、1円でも貸せるモノなら貸してみろ」と半ば開き直り、「かなり横柄な態度で対応してしまった」。が、「ビジネスモデルは方向性も間違いなく、おもしろい」ということで1000万円の融資が下りる。
    「奇跡だった」。
     窮状を乗り切ると同時に、会社経営に改めて向き合った。「俺は一体、何をやっていたんだろう」。創業間もないにも関わらず、前職の給与体系を引き継ぐなど、自身の甘さにようやく気が付いた。「恥ずかしい話だが、経営者としての覚悟はそのときにできた」。仲間にも自分が社長として上に立つことを宣言。当然、去っていく者も。
     そんなときに、オフィスを出た同社長の目に飛び込んできたのが満開の桜だった。同社が入居するビルの回りは桜並木で有名なエリアだが、「資金繰りで頭がいっぱいで、景色などまったく目に入っていなかった」。「こんなきれいな景色が身近にあったのか」と感動し、「来年もこの桜を見ることができるように頑張ろうと勇気をもらった」。
     あれから12年。「もちろん、それからもピンチは山ほどあった」が、「その都度、人と人とのつながりで助けてもらい、何とか乗り越えてこられた。感謝を忘れず、1年1年頑張っていこうと思う」。
    ◎関連リンク→ ロジ・コンビニエンス株式会社

     
     
     
     

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