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    「行政倒産」で淘汰加速 狭き門となるか

    2013年10月24日

     
     
     

     供給過剰に歯止めをかけるため、国が営業車両の台数を制限しようとするタクシー事業の様子から、過当競争にあえぐトラック業界でも同様の対策を求める声が聞かれる。ただ、かつての営業区域が撤廃されてしまったトラック事業では、タクシーのように「特定地域」における車両の過剰感を明確に示せない事情もあり、伝家の宝刀である「緊急調整措置」が発動される可能性はゼロに近い。
     相変わらず厳しい環境のなかで体力の消耗戦が続いているが、一方ではトラック運送の新規開業が狭き門になる様相も見せ始めている。


     運輸支局の担当官も「だれが言い出したのか知らないが、確かに聞いたことがある」という、ある種のウワサ。霊柩事業者を除くと、全国に5万6000社ほどあるとされる運送会社が、近いうちに4万社にまで減るという。経営環境の悪化に加え、事業停止の長期化など行政処分の強化を背景とした「行政倒産」も多発するというのだ。「もちろん行政当局に(処分件数の)ノルマなどないし、ウワサの根拠は知らない」と担当官は続ける。
     10月からの処分強化の影響がどの程度かは不明だが、30日間の事業停止となれば会社の存続に赤ランプが点灯するのは間違いない。別に運送会社を立ち上げて、万一の事業停止に備えるという実運送事業者も少なくないのが実情だが、平成20年から始まった新規許可を申請する際の法令試験が一段と厳しい内容になったことで、事業停止の対策としての〝抜け道〟はもちろん、新規開業の門も狭まり始めているようだ。
     新規許可の取得だけでなく、譲渡・譲受や相続の際にも課される法令試験は、今年5月までは毎月実施され、しかも回数に制限はなく受験することができた。「1日に午前1回と、午後に2回の計3回まで受けることができ、さすがに3回目でも不合格になったという話は聞いたことがない」と当時、運輸支局の専門官が話していたことを思い出す。
     しかし、5月から試験は隔月の実施となったほか、1日に受けられるのも1回。貨物自動車運送事業法や道路運送法、労働安全衛生法、独禁法など13の法令・規則から出題される30問に、8割を超える正解を出さなければ不合格となるが、その場合は翌々月に1回限りの再試験を受けられるものの、それで不合格となれば申請自体が却下となる。
     申請書類を作り直せば何度でもチャレンジできるのは確かだが、その都度、行政書士などに作成を依頼しなければならないという煩わしさとコスト増は避けられない。譲渡・譲受ではなく、「廃業する運送会社を丸ごと買えば試験を受ける必要はない」(M&Aに積極的な広島県の運送経営者)ということも事実だが、そう〝良縁〟が転がっているわけでもない。増加する廃業と事後チェックの強化による行政倒産、さらに新規開業が狭き門となることで淘汰が一段と加速するムードも漂い始めている。

     
     
     
     

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