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    任意保険の矛盾に一石 許可得れば義務消滅?

    2014年1月8日

     
     
     

     トラック事業の新規参入に関係する規制強化として「資金計画」「譲渡譲受」などとともに、「損害賠償能力」(任意保険の加入)についてのルールも変わる。トラック事業にとって最優先は事故防止だが、万一の場合の被害者救済も営業ナンバーにとっての責務だ。新規に運送許可を受ける際には従来、被害者1人につき5000万円以上の対人保険に加入する義務があったが、これを無制限に引き上げる。ただ、かねて「いったん事業を開始すれば、その後に加入状況をチェックされることはない」との指摘があることも事実で、行政当局の担当者も「(許可を取得した後は)任意保険の加入義務はない」という理解しづらい見解を示す。


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     信じたくはないが、このところ「任意保険に入らないままトラックを走らせる運送会社は一つや二つじゃない」(岡山市のトラック事業者)といった声を各地で頻繁に聞くようになった。広島市で保険代理店を営む60歳代の男性は「昔はトラックの運送会社といえばフリート契約(10台以上)が基本だったが、最近は5台前後の会社が増えたことでノンフリートも多い。事故があれば保険料が跳ね上がる新制度に変わったことで、保険料を払えなくなった会社もあるし、その情報が回って、どこにも加入できなくなっているケースもあるようだ」と話す。「無保険トラック」の存在を裏付ける話だ。
     トラック運送では新規開業に際して前述した通り、一定額以上の対人保険に加入することで損害賠償能力を求めてきた。保有車両が101台以上の場合は例外となるが、いきなり100台を超える規模で開業することは考えにくく、実質的には新規許可を受けようとする全てのケースで加入義務が発生することになる。
     「5000万円以上」が「無制限」に変われば保険料のアップは避けられず、ひいては新規参入時の規制強化につながるとの思いがあるのかもしれない。
     ただ、加入状況は運輸開始時の資金計画の確認項目として自認書の格好で「加入する」と記すだけで、昔のように保険証券のコピーを添付する必要はなくなっているのが実情だ。
     また、実際に事業所を巡回している適正化実施機関の関係者の一人は、「任意保険の加入状況は指導対象の項目に含まれておらず、保険証券を見せてもらうような場面はない」と打ち明ける。行政処分の「基準日車数」表にも記されていないのが実情で、事故防止と同レベルで重要な営業ナンバーの責任である被害者救済の根拠を定期的にチェックする機能は存在しない。
     一方、自力で損害賠償に対応できる大手では任意保険に加入しないケースもあるが、その根拠を「任意保険の加入義務は100台以下の事業者のこと」と受け取る関係者も多い。それなら、「事業開始から数年後に100台を超える規模に成長すれば義務から外れるのか」という疑問や、それ以前に賠償能力の有無を「トラック101台」で線引きする基準自体にも首をかしげたくなる。
     現場担当の運輸支局は「任意保険の問題は性善説に基づいていると思う。ただでさえ監査のチェックポイントは多く、行政処分と直結する項目を慎重に調べなければならない(から時間を要する)」と説明。一方、国交省の「対人無制限の対象は(12月1日以降の)新規許可申請が対象であり、既存事業者は含まれない。また、加入義務は許可申請時のもの」(貨物課の担当官)と、営業を開始した後は「義務ではなくなる」とする説明には驚くしかなかった。
     新規参入の厳格化につながる今回のルール改正については、10月2日までの1か月間にわたってパブリックコメントを受け付け、期間中に寄せられた13件のなかには任意保険について「被害者救済の面でも良いことだが、参入時だけでなく、許可後も全事業者を確認すべき」といった声も届いている。国交省にとっては〝畑違い〟の社会保険の未加入については許可後も定期的にチェックし、さらに行政処分の対象にまで加えているが、営業ナンバーの事業者という立場を踏まえれば、むしろ社会保険より優先すべき社会的責務であると思うのだが…。

     
     
     
     
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