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    入札戦線異状あり 値くずれが止まらない

    2014年1月6日

     
     
     

     自治体における入札現場の秩序が乱れている。入札はこれまで、地元の運送事業者が優先されてきた背景があるが、随意契約の排除や入札対象エリアの拡大から競争が激化し、運賃下落が続いている。さらに、電子入札制度の導入がそれに拍車をかけており、値崩れの蔓延化で事業者の経営を圧迫している。すでに資金難から、従業員の正社員化や車両の代替えができない事業者も出ており、輸送品質の悪化が懸念されている。今後、公共のサービスに影響を及ぼしかねないだけに、最低限度額を定めるなど、対策が求められている。


     東京都千代田区のほか3区の仕事を請け負う同新宿区の事業者によると、「自治体の入札で秩序が乱れ始めたと実感したのは今から10年ほど前」だという。それ以前は、「あちこちから業者が入ってこないように地元優先が暗黙の了解だった」という。しかし、前年実績のある事業者を同じ金額で継続して契約する随意契約がなくなり、毎年必ず入札が 行われるようになった。
     また、入札対象エリアが地元だけでなく、近隣へも拡大されていった。自治体の職員の間では、地元優先という考え方がまだ残っているようだが、入札案件によっては対象地域内で対応できる事業者がいない場合があるため、近隣地域まで範囲を広げなければならない。こうした現状で競争が激化し、毎年の入札が行われる度に運賃が下落していったという。
     さらに、電子入札の導入が運賃下落に拍車をかけている。以前は、入札が実施される前には入札説明会が行われており、他社の動向が見えていた。そのため、ある程度の対策を立てる余裕があったが、電子入札制度によってまったく相手が見えなくなり、各事業者は手探りで入札価格を決めるようになった。その結果、仕事を取るためには大幅な値下げをせざるを得なくなった。
     入札は各自治体で基準が設けられている。例えば、同港区では、仕事内容が1000万円以上をランクA、200万円以上1000万円未満をランクBなどと定めている。同千代田区では300万円以上の案件は指名競争入札で、申し込みが必要となっており、300万円に満たない場合は行政から直接指名という形が取られている。
     電子入札時にチェックされる事業者情報は、資本金、経営規模、売上高、従業員数、事業年数など各自治体で大きな差はない。しかし、事業者を選ぶ基準は、あくまで価格だ。大手の事業者が実績作りのために入札に参加し、もともと安い運賃をさらに安く受け、下請けへ流しているという問題も指摘されるが、「多くの案件を抱えていて、細かいところまでは見ていられない」というのが自治体の本音のようで、安い運賃に関しても、「区民からの税収なので無駄遣いできない」との回答だ。価格が最優先され、安心・安全は二の次にされているようで、「入札担当者が2、3年で異動してしまい、新しい担当者への引き継ぎもうまくできていない」という問題も見えてきた。
     随意契約がなくなり、入札対象エリアが拡大、さらに電子入札制度の導入で、価格は下落を続けている。加えて、自治体が落札条件に対し、価格を最優先することで、落札価格は毎年下がり続けているのが現状だ。都内の事業者は、「随意契約時の運賃は、ライトバン・ダブルキャブで2万6000円だったが、下がりに下がって、現在は1万3700円程度」とし、「入札条件も厳しくなっており、ライトバン・ダブルキャブ以外にも、2トン車、4トン車も持っていないと入札のテーブルにすら上がれない」と嘆く。
     価格の下落で、同社は正社員雇用が難しくなり、パートやアルバイトに頼るようになった。また、車両の代替えもままならない状況で、輸送品質の低下が危惧されるという。道路・建設業の自治体入札では「最低限度額」が定められ、法外に価格が下げられないための仕組みができているが、運送業には、そうした仕組みはできていない。最近は新宿区で最低賃金制度が設けられたが、入札価格の下落を留めるまでには至っていない。
     自治体の仕事はいわゆる公共サービスでもある。価格の下落が進めば今後、公共サービスに支障をきたす可能性もあるだけに、最低限度額の設定など、今一度入札制度の見直しが求められる。

     
     
     
     
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