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    厚労省が特定派遣事業廃止へ 事業縮小の可能性

    2014年1月15日

     
     
     

     厚労省の労働政策審議会は、届け出だけで開業できる「特定派遣事業」を廃止し、全ての派遣事業者に対して、審査や更新が必要な許可制に移行する方針を固めた。運送会社の中には、自社の社員を荷主に派遣している場合もある。今回の方針で、事業縮小に直結する事業者も出てきそうだ。
     昨年から、自社のドライバーをフォークリフトの運転者として荷主に派遣するケースが増えているという。ドライバーの大半はフォークリフトの有資格者で、長年の物流業務で運転技術も卓越している。安全・確実はもちろんのこと、現場ではスピードが求められる。荷主としては、リフトマンを社員として抱えることでコストを掛けるよりも、必要な時だけ即戦力として派遣してもらえれば、作業の効率化や事故のリスクも回避できる。仮に事故が起きても、責任を負わなくてよいという利点ばかりだ。一方の運送会社も、仕事量が減少する中で新しい仕事を確保する意味でも好都合で、両者の思惑が合致する形といえる。


     そこで、派遣する運送会社に必要になるのが、「特定派遣事業の届け出」だ。労働者派遣事業には2種類あり、許可制の「一般派遣」と今回、廃止が検討されている「特定派遣」である。「一般派遣業」として事業参入するには、(1)資産2000万円(2)現金預貯金1500万円(3)派遣元責任者講習の受講(4)事務所の広さ、などの様々な厳しい要件がある。
     一方、「特定派遣業」は、自社の常用雇用労働者を派遣するという点以外は資産要件もなく、届け出さえすれば即日受理と、極めて容易である。そのため、平成16年当時の小泉内閣による規制緩和で、特定派遣事業者の数が急速に拡大した。厚労省職業安定局需給調整課によると、平成16年度の特定派遣事業者数は約1万9000所前後であったが、同23年度には約6万3000所まで膨れ上がっている。しかし、「常時雇用」を前提としながらも法的な定義はなく、同20年のリーマン・ショックを機に脆弱性が露呈。不況を理由に一般派遣事業者への規制が強化され、特定派遣事業への流出が起き、1年ごとの有期雇用が横行し、仕事のない時期に、労働基準法に定められている休業補償がなかったりと、有名無実・形骸化しているのが実情だ。
     長年、人材派遣業に携わる関係者は、「特定派遣は個人で出来ることから、悪質な業者がいるのは事実。『名ばかり正社員』が急増している」と話す。さらに、「現在の特定派遣事業者のすべては、一般派遣事業者として一からやり直しだと思う。例外事項というのは考えにくい」と、現在の特定派遣事業者が優遇され、継続出来る可能性は極めて低いとの見解。「あくまで一般論だが、資産要件などが満たない場合は請負業務として形を変え、最終的には偽装請負となり、労使のトラブルから発覚するというケースも考えられる」と付け加える。
     厚労省は、事業参入への入り口を狭くし、派遣業界のレベル向上と労働者の安定雇用の狙いはあるが、新しい事業形態を確立した運送会社にしてみれば、荷主との関係性から新たに一般派遣業の許可を受け、自社社員の派遣を継続していくのか、それとも、費用対効果や法的な締め付けを考慮して撤退するのか決断しなければならない。政府は、労働者派遣法改正案を来年の通常国会に提出。平成27年春から新制度に移行させたい考えだ。
    ◎関連リンク→ 厚生労働省

     
     
     
     

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