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    車両・人材不足 保有力をフルに生かす

    2014年3月31日

     
     
     

     ドライバーの現場離れが深刻化しており、実運送事業者にとっては「目の前にある仕事」が、こなせないという悩ましい日々が続いている。
     傭車に依存してきた元請け事業者にとってもトラック集めがままならない現状は切実で、実運送の業界は近年にない売り手市場の様相を呈してきた。そうしたなかで、なんとか業務を回そうと工夫するトラック事業者の姿もある。西日本エリアに本拠を構える2つの運送会社の場合も、限られたトラックとドライバーをフルに生かそうとする視点で新しいチャレンジを開始している。


     約70台のトラックを抱えるA社。関西や九州、関東などに10か所の事業所を持っているが、昨年後半から急激に荷動きが増加する一方、不足するドライバーの確保が問題になっていた。社長によれば「いつドライバーを採用できるかわからないという問題と、この忙しさが、いつまで続くのかということも懸念材料。そう考えると、いま仕事があるからといって安易な増車はできない」という。
     そこで考えたのが「現状のトラックをフル回転させることで、増車したのと同じ効果が得られる」というもの。手始めに西日本と関西、関東の拠点間で所属地の異なるドライバーが入り乱れる格好でスタート。荷物を積んで関東の拠点へ走った西日本の事業所に所属するドライバーは、復路は関西の事業所までの輸送で業務を終了し、そこから会社所有のライトバンで所属事業所へ戻る。
     西日本の事業所に所属するトラックは関西に乗り捨てられた形となるが、今度は同トラックに関西所属のドライバーが乗務し、再び関東へ運行。休日を挟み、ライトバンで帰った西日本のドライバーが関西へ出向き、そこへ戻ってきたトラックに乗って関東へ走り、次は本来の所属先である西日本の事業所へ帰庫する…という具合だ。
     複雑そうに見えるが、「実際に動かしてみると、そうでもない」という。ただ、ドライバーの点呼やトラックの日常点検といった管理面で「問題がないかどうか、心配がないわけではない」と社長。行政処分のチェック内容が厳しくなるなかで、見切り発車したチャレンジに不安はぬぐえない様子だ。
     運輸当局の担当官によれば「Gマーク事業者に認められた2点間の定時運行におけるドライバーの交代行為には該当しないが、トラックとドライバーが144時間以内に所属の営業所へ戻っているならダメとはいえない」と説明。ただ、「ライトバンの運行途上も拘束時間であることや、点呼や運行前点検の報告の記録方法などには注意してもらいたい」と補足する。
     一方、およそ200台のトラックを運行させているB社。長距離輸送が多い同社の場合は労働時間の対策も踏まえたチャレンジ。幹部の一人によれば「運行距離が800kmを超えるかどうか、それを一つの目安にしている」と話す。
     同社の場合も各地に事業拠点を構えているが、運行経路のメーンは高速道路。「いろんな時間帯で料金の割引があるが、トラック事業にとってメリットが大きいのは走行距離に関係なく半額となる深夜割引(今年4月からは3割引)。それをフル活用しながら、一方では労働時間の対策を講じる必要がある」とし、高速上でドライバーを交代させるようになった経緯を説明する。
     高速のSAには、外部からもレストランなどが利用できるように一般道路とドッキングさせるケースも多い。高速の外側に設けられた駐車場に車を止め、歩いてSAに入ることができるが、同社の場合もこれを活用。「最寄りの拠点をライトバンで出向いたドライバーと、そこまで走ってきたトラックの乗務員がSAでバトンタッチ。いったん高速を出てしまえば、そこで深夜割引が終わってしまう。積み重ねれば金額はバカにならない」と話す。
     ただ、同社の場合もドライバーと車両の管理面には配慮が欠かせない。前出の運輸担当官も「ライトバンで所属外の事業所に立ち寄る格好になるドライバーはSAで車両状況を次のドライバーに報告するとともに、そうした行動を電話もしくはIT機器で所属事業所に点呼連絡を入れる際に、合わせて報告する必要がある」などとフォローしている。

     
     
     
     

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