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    交通事故に新たな懸念 「自分守る」保険?

    2014年4月8日

     
     
     

     事故が続いたことで、引き受ける損保会社がなくなったケースや、経営悪化から保険料が払えないといった事情も含めて近年、任意保険に加入しないまま営業トラックを走らせる事業者の存在が問題化しているが、交通事故にともなうトラブルとして新たな懸念が浮上している。暴力団との融資取引を巡る昨年の「みずほ銀行事件」を機に、金融・保険業界で暴力団を排除する動きが強まっており、損保業界も昨年末ごろから排除規定の策定を始めているが、その結果、仮に任意保険に加入していない暴力団関係者の車両が100%過失の加害者となる事故が発生した場合、示談交渉の現場は「素人vs暴力団」という状況になる可能性もある。


     広島市で大手損保の代理店業を営む60歳代の男性は「暴力団との保険契約を切ることで泣き寝入りを強いられる被害者が出る可能性は否定できないが、いまでも監禁されたり、保険金を支払わなければ帰してもらえないといった、ややこしいトラブルは少なくない」と打ち明ける。任意保険に加入していない営業トラックが存在することも熟知しているようで、「年収200万円以下という低所得層が増加している状況では、『自分は自分で守る』ための対策が必要」と指摘する。
     損保会社では今後、暴力団関係者が保険を契約できないようにするための排除規定を約款に盛り込む方針で、一部の大手損保では9月までに自動車保険だけでなく、火災保険や一般傷害保険などにも適用するという。また、契約後に暴力団関係者であることが判明した場合は契約を解除するものの、被害者には保険金を支払うなど救済措置を講じる方針。業界団体である損保協会では先に、損保各社が排除条項を策定するうえで参考となる規定例も作成している。
     運送業界でも近年、任意保険に入らないままで運行する営業トラックが問題化しているが、そうした未加入車両が過失100%の事故を起こした場合、被害者は補償面で大きな不利を抱える可能性が高い。また、被害者側にも過失があった場合は加入する損保会社などが実際には対応してくれるが、一切の過失がない場合は被害者が自らの保険契約に「弁護士特約」などを付けていない限りは示談交渉まで、素人である自分の手で行わなければならないのが実情。交渉の相手が任意保険に加入していない暴力団関係者であれば「素人vs暴力団」という図式となる。
     こうした現状を踏まえると、今回の暴力団排除の動きは交通事故の被害者に厳しい現実を押し付ける要素もはらんでいるといえる。前出の代理店社長は「仮に暴力団の関係者であっても自賠責の加入義務はあるが、それで賄えるのは対人事故のみ。死亡時は最高で3000万円、ケガや治療費などは120万円までしか支払われない」と説明しながら、「自分を守るための人身傷害および、車両保険に加入しなければならない時代になっていることを認識すべきだ」と強調する。

     
     
     
     

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