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    ボランティア業じゃない こんな仕事は「お断り」

    2014年5月22日

     
     
     

     インターネットにあふれる通販サイトで、購買の決め手になる一つが「送料無料」の表記かもしれないが、それを生業とするトラック運送業界とすれば、「まとめ買いで送料は当店が負担」といった表現に変更してもらいたいところ。ドライバー不足が顕著になってきた昨年の後半から、トラック業界にも「採算が取れない仕事や、理解のない荷主は切る」という空気が流れだしているが、むしろ遅すぎたくらいだ。そう、ボランティア業ではないのだから…。
     兵庫県西部のトラック事業者。「いまの状況を理解できない荷主とは取引をやめるようにした」と社長。燃料高騰で儲けが出ない状態であるうえ、限られた人数のドライバーに〝しょうもない仕事〟をさせるわけにはいかないのが、最近の業界事情だ。


     そんな現状に無関心な荷主から先日、新しい仕事の相談が入った。「兵庫から大分まで6万5000円(大型トラック)という内容で、とんでもないから8万6000円を提示したところ、先方は『2万円以上も高いとは…』と交渉決裂。どうでもよかったが、それから1か月ほどして荷主から『8万6000円で頼みたい』との連絡。『状況は日ごとに変わっており、いまなら9万5000円になる』と説明すると、再び先方は『…』。その荷主との取引は断ることにした」と話す。
     「帰り荷、帰り便という表現を使い始めたのは我々の側であるのは間違いないが、運送の素人である荷主の担当者までが『(運賃が安い)帰り便を探せないか』と問い合わせてくる始末」と話すのは、30年以上も岡山県との県境近くで商売を続けてきた兵庫県の運送事業者。「帰り」という言葉を使う荷主や物流子会社とは2、3年前から取引を避けるようになったという。
     「そもそも運ぶ側の概念からすれば、自社トラックの復路は、そこに本拠を構える同業他社にとっての往路。復路の荷物を『帰り荷』と呼ぶことに問題は感じないが、『帰り車』というのは引っ掛かる。ましてや『運賃は人件費に燃料代を足した程度』といった認識の荷主に『帰り車=安い』と勘違いされてはたまらない」と社長。そうした思いが一段と強くなったことで、最近は「オタクらの荷物は帰りレベルの安物か…と荷主に聞き返している」と痛快だ。
     冷蔵・冷凍車で食品輸送をメーンに手掛ける岡山市内の運送事業者。大型トラックを使った中距離までの幹線輸送のほかに2トン、4トン車によるスーパー向けの域内配送も請け負っているが、「外食産業の店舗配送はNG。これまでの仕事も時期を見て断っている」(社長)という。
     周囲から見れば有名な外食企業であっても、「フランチャイズ展開するような店舗が特にシンドイ。店ごとに独立していることもあって、配送時間や納品方法の注文も異なる。限られた時間内に回らなければならない店舗数は多く、振り回されるばかりで、ドライバーの労働時間を考えれば儲かる仕事じゃない」と打ち明ける。
     工業原料や機械部品などを扱う兵庫県中央部のトラック事業者も、昨年ごろから強気の姿勢に切り替えた。社長によれば「コンプライアンスを重視し、ドライバーの定着率を高めるには仕方がない。理解してくれる荷主の担当者も多いが、そうでない場合は引き受けないことにしている」という。
     先方に注文するのは「少なくとも1か月前には配送依頼の連絡を出してほしい」というもの。「そうすることでドライバーごとの1週間のスケジュールが早い段階で組めるし、彼らのプライベートを充実させることもできる。扱う荷物の種類によっては無理なケースもあるだろうが、話せばわかる荷主も少なくない」と感じている。

     
     
     
     

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