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物流ニュース
尾家産業 ボイスシステム導入で無駄なくす
2014年7月10日
尾家産業(尾家啓二社長、大阪市北区)はホテル・レストラン・居酒屋などの外食産業、お弁当・総菜・宅配などの中食事業、 工場やオフィスの給食事業のほか、最近では病院や高齢者施設などのヘルスケア事業に向けて、 幅広い範囲であらゆる「食」の市場に食材の供給をはじめ、物流システムの支援を行っている。また、飲食店や一般の人が直接購入できるC&C(キャッシュアンドキャリー=業務用食品現金卸)店舗も展開中。
営業本部物流部長兼受注センター長の大神良次氏に同社の物流体制(オイエロジスティックス)について話を聞いた。
商流が会社の基本理念で、物流は組織の中の一部分と説明する大神氏。「物流と言うと効率化を求めるが、商流は1分でも長く、多く得意先に営業して、1円でも多く稼ぐこと。効率化とは対極にあり、受注の締め時間まで売り上げを求める」とし、「ロジスティクスの効率化よりも、ルートセールス活動が優先された。〝マテハン〟と言う言葉の意味も知る必要がなかった」と話す。
物流拠点について、大阪にドライと冷凍の拠点があり、関東では神奈川にドライの拠点、埼玉に冷凍の拠点がある。そこから、全国46事業所に配送する。得意先へ8割(400台)の自社トラックで配送し、残りの2割は外部に委託している。
倉庫内は基幹システム(スマイル)と連動するボイスシステム(音声認識システム)を他社に先駆けて2012年4月から導入しており、入庫、検品、ピッキングなど七つの作業に活用している。
同社では、この尾家WMS(Warehouse Management System)を活用し、無駄のない在庫管理はもちろん、音声認識によって今まで手書き、手入力していた作業が音声で行えるようになった。同システムはこれまで7事業所に導入しており、今後も導入拠点を広げていきたいとしている。
また、同社は環境対策に力を入れており、運転者に急加速、急発進をやめるなどのエコドライブの指導や、トラックにドライブレコーダーを導入したり、冷凍・冷蔵倉庫では、太陽光による電気に切り替えている。それにより、燃費の向上と排ガスをなくすことが可能となった。
会社の既存取引の中で利益を最大化する三つの方法((1)売り上げを伸ばす(2)値段を上げる(3)収益を圧迫する経費削減)の中で、ロジスティクスで行えることは経費削減であるとし、「改善による経費削減実績を上げることで社内の信頼を得ることにつながった」と話す。これによって、ボイスシステムの導入も効果を検証し承諾された。
さらに、「温度管理のほか、物流全般に関わる衛生管理基準を設けて、倉庫のみならず、敷地・トラック内部の衛生管理を徹底することで得意先の安心を得ている」とした。
また、営業拠点と納入先との距離の近さがアピールポイントにもなっている。営業拠点が消費地に近いことで、地元密着を確実なものにし、商品の素早い配送を可能にした。しかし、営業拠点が多いことで異なる問題が発生する。この対策について、「46の拠点に46人の長がいると、各拠点において運用方法が、ハードの面では統一されているので、ソフト面でも統一していくことが課題。具体的に過去にあった話として、病気で欠員が出た営業所に、他の事業所から応援に行って、対応できなかった。そのため、全事業所の作業工程を統一し、平準化する必要があった。統一した運用は社員の業務改善につながった」と話す。
今後の物流事業者に求めることとして大神氏は、「安くて悪いでは意味がない。たとえ安く引き受けても、急に値上げを求めてきたり、つぶれてしまっても困る。今まで、ブラックボックスだった物流費の中身を、分析して何の作業にいくら掛かるのかが見えるようにして、『経費の見える化』を進めてもらえれば」とした。
◎関連リンク→ 尾家産業株式会社この記事へのコメント
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