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    値上げ実現のカギは?燃料費倒れ懸念の声も

    2014年6月11日

     
     
     

     実運送を担うトラック事業者にとって、思い出したくない一つが「魔の2008年夏」だ。インタンクでもリッター150円に迫るという危機的な状況を踏まえて当時、国も燃料費の補助として「1社につき上限100万円」をバラまいたが、現在、その価格帯に近づきつつある。国交省が昨年、「燃料高騰対策」として環境対応車やエコタイヤの購入補助などを用意した流れも、魔の夏と重なって映る。軽油引取税、さらに消費税まで含めれば自家タンクでもリッター125円が実勢価格のアベレージになっている印象で、中小・零細がひしめくトラック業界にとっては試練の夏の再来を呈している。


     「アベノミクスがトラック業界に与えたのは軽油の高騰だけだ」――。5月後半を中心に全国各地で開かれた業界団体などの総会で、決まって壇上から聞こえた叫びだ。起業から40年になるという食品輸送を手掛ける広島県の運送社長は「事業を続けるためには何を置いても、まず優先して支払うのが燃料代。おのずと税金や社会保険料は後回しになるが、役所も運賃を差し押さえるなど対応が厳しくなっている」と、再び増加傾向を見せている倒産の裏事情の一つを明かす。
     労働時間の短縮化が運賃収入の減少に直結するトラック事業では、ドライバーの給料を維持しようとすれば売り上げに占める燃料コストの割合は増える。それまで一切、値上げの話を切り出したことがなかったという同社だが、今年に入って「数年前から推移を記録している燃料単価のデータを取引先に提示してみた」というものの、「原油高騰の影響はトラック事業に限ったものではない」と鼻であしらわれた。
     家業の実運送を手伝うようになって20年近くになっている岡山県の女性取締役の場合は「祖父や父から聞く『古き良き時代』は理解できない」と話し、「採算が合わないなら荷主と交渉するのが当たり前」と明快だ。軽油の値段を意識するようになった当時の単価は60円台だったが、「軽油引取税の32.1円を抜いて考えれば、いまは3倍の値段になっている。古き良き時代に、ドンブリ勘定が通用したのもうなずける」と自戒の思いも込める。
     かさむ燃料コストやサーチャージの導入を取引先に説明することは「当たり前。ただ、あらたまって値上げ要請となると堅苦しいし、向こうも身構えるから、思ったことを、そのときに口にするようにしている」というものの、「先方も努力して利益を確保しているわけで、儲かっているなら運賃を上げてほしい…そんなことは単純にいえない」。自分の会社がどこまで頑張っているか…。「まず、そこを見直さないといけないと思っている」と話す。
     一方、食品や工業原料の輸送が主力という同県のトラック事業者は、ある意味で女性取締役が考える取り組みを数年前から実行してきた。「大型トラックだと積載状態でリッター3.4kmくらいが一般的」といわれる燃費を、同社では管理者と現場が一体となって目標値を同4kmに定める。結果として、現在は全車の平均燃費が同3.8kmを超えるレベルに達した。
     社長によれば「ここまでやって、それでも運賃に占める燃料コストが3%ほど上がっている。よその運送会社のトラックに比べて燃費が13%ほど優秀であるということは、125円の軽油をウチは110円以下で買っている計算。何の努力も見えないままで値上げを求めても、同様に燃料高騰に悩む取引先にアピールできるわけなどない」と断じる。

     
     
     
     
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