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    ドライバーの「歩合給」は適切? 給与体系の見直しを

    2014年7月31日

     
     
     

     トラックドライバーの給与について、多くの事業者から、歩合給を積極的に採用しているという声が聞かれる。それでは実際のところ、運送事業者にとって歩合給は適切な給与体系といえるのだろうか。
     トラック運送事業者の給与体系は、主に(1)固定給+時間外割増賃金(2)固定給+時間外割増賃金+仕事給(運賃収入に比例するもの、荷物量や個数によるものなどさまざま)(3)固定給(一律)+時間外手当(一律)+仕事給、(4)仕事給のみ(運賃歩合の場合は運賃収入に対してパーセンテージなど)の4種類に分類される。


     この中で(1)の給与の場合は、仕事の繁閑にかかわらず一定の賃金が支払われる。(4)の場合は、時間外の割増賃金が明確でないため、労働基準法に抵触する恐れもあるのが欠点と言えるだろう。
     かつては運送事業者でも(1)のような給与体系が多く見られた。しかし、規制緩和により企業間競争が激化したこともあって、若手とベテラン、あるいは勤続年数の差による賃金の差を、近年の賃上げ水準や調整給では縮めることが難しく、徐々に仕事給が含まれる(2)や(3)といった給与体系に変わってきているのが現状のようだ。
     ただ、仕事給を含む給与体系は、固定給とのバランスが難しく、仕事給の比率が高くなればなるほど、仕事の繁閑により収入が大きく左右される。
     (3)では、若手もベテランも同じ賃金水準であることから、上下関係が薄れて職場の雰囲気が悪くなるという声もある。ベテランであることに対する評価のため、①や②の給与体系になるという。
     (1)から(3)のように固定給を含む給与体系では、ベテランのドライバーほど固定給は高くなるが、ベテランの固定給をどんどん高くしてしまうと、運賃と給与のバランスが崩れてしまう。
     これだけ給与体系に種類があり、各事業者が頭を悩ませているのは、他の職種に比べドライバーの仕事の評価方法が難しいためと言える。
     取り扱う荷物の種類のほか、道路の状況や荷待ち時間など考慮すると、単に給与を労働時間のみで見ることが出来ないことも関係している。
     固定給で給与を支払う大阪市鶴見区の事業者は、「固定給は高めに設定している。固定給だとドライバーたちの士気が下がるとの声もあるが、デジタコで時間がすべて記録されているので、ごまかしがきかない。こちらがドライバーの細かな動きも把握しているため、ドライバーも自分たちの仕事を怠けようという意識は生まれない」と話す。
     完全歩合給で給与を支払う大阪府大東市の事業者は、「本当は『最低賃金+歩合制』の給与を採用する予定だったが、ドライバーの方から、やる気を高めるために完全歩合給にしてほしいと頼まれた」と話す。
     昔のように、トラックで荷物を長時間、運べば運ぶほど給与が高くなるという給与体系に魅力を感じているドライバーは今でもいる。しかし、完全歩合は家族手当や皆勤手当など、手当のほとんどを最低賃金の計算に含めないため、最低賃金割れで行政処分の対象、長時間労働になるというリスクもある。
     歩合給は、ドライバーのやる気を引き出すためには有効な手段かもしれない。しかし、毎月の給与の差が大きくなったり、給与が最低賃金を割ることはないかと、基準内賃金と時間外賃金に分けたり、必ずしもプラスの面だけではないことが分かってくる。
     給与体系は企業の体質を如実に表すいわばうつし鏡だ。求職者にとって魅力ある企業にするためには、人材教育のノウハウや業務のシステムなどとともに、最低賃金を意識した労働時間管理の徹底と給与体系の見直しが必要だ。
     現在働いているドライバーが生き生きと働く環境が整えば、おのずと人は集まってくるかもしれない。

     
     
     
     

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