-
物流ニュース
「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」開催
2014年7月5日
国交省は7月4日、「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」を開き、労働力不足の解消に向けたロードマップを示した。『正直者が損をしない』ための適切な市場環境整備に向けた取り組みとして、適性運賃の収受などの業界の健全化を図り、これを前提とした上で、官民連携によるドライバーの確保・育成の取り組みをさらに強化していく。
不適正事業者の指導強化と退出促進として、適正化事業実施機関による速報制度の効果的な運用など、事後チェックの充実・効率化に向けた対策を実施するほか、悪質事業者の排除に向けた行動計画の整理として、10月をめどに「事業用自動車総合安全プラン2009」の中間見直しを行う。
適正取引の推進に向けて、燃料価格高騰分の転嫁実態調査を実施。10月以降は調査結果を踏まえた燃料高騰分の運賃などへの転嫁へ、取り組みの検討・実施を行う。
取引の書面化についてはフォローアップの検討・実施を行い、10月以降に書面化の普及・定着を加速させる取り組みを検討・実施。
「下請・荷主適正取引推進ガイドライン」の改正について、方向性(案)として「商習慣によるトラック事業者への待機時間のおしつけ問題等となる行為類型例、望ましい取り引き慣行」「書面化推進ガイドライン等を踏まえた適正な取り引きの確保など」について追加するとしており、今後検討を重ね、10月をめどにパブリックコメントを行い、11月にもガイドラインの改正・運用を図る見込み。
多層構造の適正化に向けた対応として、実態調査の検討と実施、調査結果を踏まえた安全阻害行為等への対応の検討・実施を行っていく。
事業開始時のチェックの厳格化については、全ト協からの要望として、「運輸開始届は事前届け出制とし、運輸局・運輸支局による事前確認を受けることを事業開始の要件とする」「現地確認では、『事業計画に定められた車両台数の確保』『全車両の任意保険加入』など九つについて許可条件に適合するか否かを審査し、不的確な案件については是正措置を講ずる」などが挙げられているが、それらを踏まえつつ許可基準が順守されるよう事業開始時の確認の厳格化など、許可手続きの見直しを検討・実施していく。
一方、活性化に向けた取り組みについて、過去にもトラックドライバーの確保・育成に関する調査検討会が行われたものの、必ずしも具体的な取り組みにつながらなかったことから、2014年をトラックドライバーの「人材確保・育成元年」とすべく、「業界イメージの改善」「キャリアアッププランの提示」「若年層へのアピールの強化」「女性の活用促進」の4本柱を掲げ、ロードマップに基づき、着実に実行する。
国交省と全ト協で経営者向けのパンフレットを作成する。これまで採用の進まなかった「若手」「フリーターなど、職業経験の少ない若年層」「女性」に対する戦略的な働きかけを行い、それぞれに応じたリクルートポイントや事業者に期待される取り組み例を紹介していく。
また、国交省および全ト協ホームページを大幅刷新する。会員向けに「人材の確保・育成」の項目を設け、若者・女性の活用にかかるポイント、業界や行政の取り組みを紹介し、経営者の意識啓発を図るほか、若年層へのアピールの強化として、「学生」「こども」向けのページを新たに創設し、トラック業界の社会経済的価値やドライバーのキャリアプラン、リクルートに係る学校からの相談窓口を明記するほか、女性の活躍、各地のト協で出前講座や子ども向けイベント、交通安全教育の紹介などを行っていくという。リニューアル後のホームページの公開は7月下旬を予定している。
「業界イメージの改善」では、労働環境の整備、労働生産性の向上に向け、長距離輸送における長時間労働の解消としての「中継輸送ネットワークの構築」「事業者間でのドライバーの相互出向」などの働きやすい環境の整備に向けた調査検討と平行して、運行管理制度のあり方について検討する。
「キャリアアッププランの提示」について、トラックマスターやトラックスーパーバイザーなどの制度を構築し、ドライバースキルの見える化を図る。全ト協や各地のト協で議論の場を設置・検討し、平成28年度以降の運用開始を目指す。
「若年層へのアピールの強化」に関しては、運輸局・地ト協の共催で、小・中・高校に訪問し、出前講座を開催。中型免許については、同4日に開催された「貨物自動車に係る運転免許制度のあり方に関する有識者検討会」(警察庁)を踏まえ、今年中にも国交省・全ト協で総合安全対策をとりまとめる。
「女性の活躍促進」に対する支援として、〝トラガール〟サイトを8月末までに立ち上げ、現役女性ドライバーのインタビュー記事などを順次追加し、来年度以降はバス、タクシー、自動車整備も含めた「自動車女子(仮称)」としてサイト内容を充実・強化。メディアを通じた積極的な情報発信も同時に行っていく。
また、女性の活用促進に向けた調査検討を行い、来年度以降、女性の活用推進にかかる経営者向け啓発を強化、パートナーシップ会議などの場において、受荷主における女性向け施設の整備について協力を要請していく。
◎関連リンク→ 国土交通省この記事へのコメント
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ