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    業界のマイノリティー 固定給を貫く社長たち

    2014年9月19日

     
     
     

     「基本給+歩合給」が圧倒的多数を占めるトラック運送業界の給与体系。月間さらに、年間の繁閑サイクルなどで売り上げが大きく変動する商売だけに従来、やむなく受け入れられてきた面があるのは確かだ。もっとも、そうした仕組みの根底には「もっと稼ぎたい」というドライバーの存在があったわけで、時短をはじめとした現在の「働きたくても働けない」という労働規制のなかでは「安月給」「不安定」といったマイナス要素ばかりが目立ってしまう。一方、業界にとってマイノリティーともいえる「完全固定給」を貫く事業者もいる。どこに違いがあるのだろうか。


     「自分がドライバーとして勤めた会社も固定給。これは、自分が独立してからも変えたことがない」と話すのは、建設資材などを扱う兵庫県の運送社長。「不満を漏らすドライバーがいた数年前、全員を集めて歩合給への切り替えを持ち掛けたが、結局は元の形に収まってしまった」と続ける。
     効率や能力で賃金格差が生じない半面、「やっても、やらなくても同じというムードが出てくることは間違いない。どちらがいいか現場レベルで悩めばいいと思うが、安全運行は安定した生活が基本」との信念がある。「ほとんどが日帰りの仕事」という業務スタイルだから可能な固定給制かもしれないが、「もし長距離便をやるとしても、1回走ったら次は近場をちょこちょこと回る業務に交代させるなどして、それでも固定給を維持する方法を考える」と潔い。
     食品輸送をメーンに手掛ける広島県の運送社長は自社のドライバーを、かねて「兵隊」と呼んできた。関西までの運行が大半という同社の場合も完全固定給で、しかも周辺にある同業他社のドライバーに比べれば高給取りが目立つ。
     入社希望者が来た場合、真っ先に話すのは「平生はコキ使うから覚悟してもらう。ただ、当たり前のことだが見合うだけの給料は払う」ということ。入社する・しない、退職する・しないは本人らの自由だが「みんな辞めない。手積み・手下ろしの仕事も少なくないが、稼ぎたいドライバーに稼がせてやるのが自分の役目。法律ばかりを気にしていられない」と豪快だ。
     前出の社長はいずれも60歳代だが、40歳代と比較的若い岡山県の社長も少数派の仲間。事業開始から一貫して固定給制を敷いているが、「正直いえば当初、自分もハンドルを握っていたから細かな(歩合の)計算ができなかっただけ」と打ち明ける。現在は「月間の売り上げでいえば30%くらいの金額からスタートして、その先は勤務年数や事故状況などを昇給に反映させている」という。
     意欲をかき立てるために「勤務態度で新車に乗れるスパンを変える」といった工夫も凝らしているが、「燃料高騰で遠出を減らしており、以前は1万2000kmくらいだった月間の走行距離は9000km程度に減った。さらに運賃単価も下がるなど売り上げが目減りしている」という厳しい現実がある。30%という比率が妥当かという問題もあるが、「有給休暇を口にするドライバーに対応するために歩合給の導入も考え始めている」。
     このほか話を聞いた固定給の運送会社では「月ぎめの仕事ばかりだから固定給でいられるが、ここ数年は売り上げに占める軽油代のウエートが膨らんでおり、しんどくなっている」(食品原料などを運ぶ兵庫県の運送社長)という声や、「固定給だから安定しているといっても、総支給は4トン車で25万円程度。この金額は若くても、年を取っても変わらないのがトラック商売であり、人材不足につながっている」(自動車部品などを扱っている同県の運送社長)との指摘もあった。
     一方、日用品などの物流全般を手掛ける兵庫県の運送会社は10年ほど前に固定給を廃止した。社長によれば「燃料や高速などの変動費に振り回される商売だけに難しかった」とのことで、現在は「1日8時間で計算した基本給+見なし残業賃(月間60時間)+それを上回った分の実際の残業代」で支払っているという。
     取材したなかでは「フリーのトラックや長距離運行は難しい」「固定給を維持するには保有台数は十数台まで」と見る経営者が目立った。
     業界団体の要職も務める広島県の事業者は「目標を持てば、そこへ自然と近づくもの。そういう意味でもドライバーが夢を持ち、夢を語れる職場でありたい」と話すが、その前提となる生活の安定に業界関係者の苦悩は尽きないようだ。

     
     
     
     
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