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    できない理由より、できる方法を

    2014年11月20日

     
     
     

     業界では、平成2年の物流2法施行以降、大幅な規制緩和が進み、自由競争の名のもとに激しい競争が展開された。規制緩和による競争激化は新しいサービスを生み出したが、同時に過重労働や社会保険未加入などの法令違反も生み出した。こうした法令違反が重大事故の原因ともなっているとし、国交省は社会的規制の強化に乗り出した。経済優先から安全優先へと舵を切ったとはいえ、業界は体質改善を迫られている真っただ中にある。
     「荷主の理解がないから無理」「ドライバーが加入を嫌がるから無理」「運賃単価が低いから無理」など、法令順守ができない事業者はそれぞれ、できない理由を並べる。これまで当たり前だったのが当たり前でなくなる。確かに、難しい側面もあろう。しかし、実際に法令順守の徹底を図る事業者も存在する。


     労基署の指導が入り、是正勧告を受けたことをきっかけにコンプライアンスの徹底に乗り出したという首都圏の事業者。それまで、安全よりも稼ぎを優先していたことを反省し、安全優先に切り替えたという。ドライバー全員の社会保険加入からスタートし、制限スピードの順守、労働時間の短縮と法令順守の徹底を図っていく。
     社内の体制を変えるには当然、痛みも伴う。同社は、稼ぎ頭のドライバー数人を失った。また、「うるさいことを言われると取引できない」と、数社の荷主との契約も解除された。しかし、同社はひるまなかった。経営者自身に強い信念があった。
     そんな取り組みによって、法令順守には程遠かった会社は、徐々に変化を見せる。ドライバーの質が目に見えるように良くなり、事故が大幅に減った。輸送品質が高まったことで荷主開拓も進み、コンプライアンスを求める同じ考えを持つ荷主との新たな取引も始まった。ドライバーの質、荷主の質が変わり、業務内容が大幅に改善された。
     同社は「やればできる」を実践している。できない理由を並べるのではなく、できる方法を探す。その方が余程やりがいにつながるのではないだろうか。

     
     
     
     

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