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    荷待ち時間対応「荷主の理解どこまで」

    2014年12月8日

     
     
     

     ドライバーの長時間労働が問題視されているトラック業界。その大きな要因として指摘されるのが荷待ち時間だ。法令順守やドライバー不足解消のためにも労働時間短縮の必要性を感じてはいるものの、荷待ち時間で拘束時間が長くなることが、それを阻害していると感じている事業者は少なくない。逆にいえば、荷待ち時間を解消できれば、ある程度の労働時間の短縮は図れるということだ。ただ、「荷主の動向に左右され、我々が単独で何かをできるものでもない」との声があるように、事業者個々の取り組みでは困難な問題でもある。人手不足が続く中、長時間労働の解消が求められる業界にあって、荷待ち時間への対応はどこまで進んでいるのか。また、荷主にはどこまで理解が広がっているのか。
     「決まった倉庫でいつも荷待ち時間が発生するため、長時間労働の解消は困難」と指摘するのは、東京都江戸川区で食品輸送を手掛ける事業者。同社は食品販売会社を荷主に持ち、倉庫からセンターなどへ納品しているが、荷主の顧客が使っている倉庫で常に荷待ち時間が出ているという。倉庫は古いタイプのもので、バースの問題など入出庫の効率が悪い。そのため、入出庫が集中すると、荷待ちのトラックが長蛇の列を作ることになる。2、3時間は当たり前で、「6時間以上待つことも少なくない」と同社長は指摘する。


     加えて、「倉庫会社も人員不足なのか、それとも経費削減なのか、作業員が不足しており追いついていないのが実情」という。現状を改善するには、荷主に取引する倉庫会社を変えてもらうしかないが、「荷主の顧客という立場上、我々が口を出せる話ではない」ため、長い待ち時間は今も続いている。
     神奈川県厚木市で食品輸送を手掛ける事業者は、「食品全般に言えること」とした上で、「荷待ち時間は総じて長い」と指摘する。荷主によっては到底無理なスケジュールを送ってくるところもあるが、断れずにドライバーの創意工夫で対応しているという。
     一方、大手家電量販店の物流を手掛けていたという埼玉県の事業者は、「朝早くにセンターにトラックをつけても、積み込みは日が暮れてからということもざらだった」と振り返る。「コンクリート塀に向かって車を止め、丸一日、監獄にいるように感じるドライバーもおり、耐えかねて車を放り出して逃げた者もいた」という。ドライバーが長続きせず、法令違反が改善できないことから、同社は家電配送から撤退した。
     荷待ち時間について同業者間でも考え方に違いがある。東京都世田谷区の事業者は地方に配達に行き、同業者から帰り荷をもらった。しかし、「待てど暮らせど荷物が出なかった」と結局、9時間以上も現場で待たされたという。同社社長によると、さらに先方は待たせた揚げ句、その対価を支払う意識は全くなかったようで、待つのが当たり前との姿勢だったという。待ち時間の問題を指摘したが、結局、「9時間待って、わずかな額しかもらえなかった」とこぼす。その上で、「荷待ち時間の対価は当たり前だと思うが、その意識がまだまだ業界内でも少ないのではないか」と話している。
     業界内でも荷待ち時間への意識がまだまだ浸透しきれていない中で、荷主はどこまで荷待ち時間について考えているのか。オフィス用品メーカーの物流子会社の担当者は、「トラックは待ち時間がなくスムーズに積み込みができている。物流部と調達部が一緒になって取り組んでいるからだ」という。
     同社担当者は「荷物が入ってきたときに間違ったと判断する人が現場にいないから対応が後手を踏む」と指摘。「電話やメールで、その都度、確認しなければならず、受け取るか返すかの判断も、単純に物流業務を受けているところだと荷主にお伺いを立てないといけない」という。その結果、入出庫に手間が掛かり、荷待ち時間が発生してしまう。同社では問題解決のために、対応を指示できる調達部を物流部に合流させた。それ以降、同社センターでは荷待ち時間はほとんどなく、スムーズに流れているという。
     また、生活用品メーカーの物流子会社の社長は、「物流の波動が大きいだけに、膨らんだ時は積み込むまでに5、6時間はすぐに経ってしまう」と率直に話す。そのため、「どのくらいの時間が必要で、何時につけてもらえば待たずに積めるか、協力会社に対して細かく連絡できる体制にしたい」というが、現状は追いついていない。加えて、「倉庫の現場としては、トラックが待っていてくれて、次々と積み込みができる方が効率が良いため、まだまだ現場では我々が認知していない荷待ち時間がある可能性も否定できない」という。しかし、「今はメーカー側の効率化の名のもとに、工場の周りを荷待ちのトラックが取り囲み、物流全体の効率が度外視されていた時代とは違う。荷待ち時間をはじめ、我々も早急に現場の改善を図る必要性を感じている」と話している。
     荷主側もコンプライアンスが求められており、トラック事業者の法令違反の原因となっている荷待ち時間の存在を認識しつつあるといえる。それだけに、トラック事業者や倉庫など、物流業界がもっと内々に荷待ち時間への対価の必要性を浸透させていくことも必要だといえる。

     
     
     
     

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