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    安運賃の時代生きる若手経営者の試行錯誤

    2015年1月30日

     
     
     

     「こんなに安い運賃で法律など守れるわけがない…と愚痴るトラック事業の社長は多いが、安いからこそ法律を意識することが大切。そうしないと会社は守れない」と広島県の若手経営者。さらに若い兵庫県の社長も、試行錯誤しながら「会社を守るため」のルール作りに努めてきた。共通するのは「開き直ることは簡単。でも、それで誰かが助けてくれるわけではない」という苦い経験だ。運賃低迷のなかでコスト割れ、さらに近年は人材不足も深刻になっているトラック運送事業だが、そうした状況でポジティブに経営改善と向き合う現場の様子をのぞいてみた。
     積み込み作業の遅れで出発時間がズレ込みながら、それでも翌朝9時までには荷下ろしを求められるトラック運送事業。帰り荷を積むために移動するドライバーが休める時間は十分でなく、運送会社にとって拘束時間をはじめとする労務管理の悩ましさは消せないのが実情だ。


     広島県南部の田園地帯に本拠を構えるトラック事業者。40歳代後半の社長は「帰り荷をもらう相手に、うちの場合は『空車になるのは午後2時』と伝えるようにしている」と話す。早朝に荷物を下ろし、「午前8~9時には空車になる」というケースが目立つなか、同社も例外というわけではない。
     「例えば、朝8時に空車になると先方に伝えれば、おそらく『同10時までに(積み込みに)入れるか』と求められる。そうするとドライバーを休ませる時間は確保できない」。荷下ろしを済ませたドライバーを分割休息の要件となる時間(連続4時間)だけ休ませることが、「午後2時の空車」を主張することで可能になるというわけだ。「従属的で、主体性が持てない商売」というトラック事業への決めつけは、少なくとも同社長の頭からは消えている感じだ。
     しかも、同社の場合は会社が指定したポイントでの「完全休息」を徹底。「例えば、TSや道の駅。承諾書がもらえるならSSや大型ドライブインを会社指定の休息地点にして構わないが、トイレと水道施設が備わっていることが条件。そこに駐車して、確実にドアをロックすればトラックから離れていいというのがルール。その間(休息期間)は会社からも一切、電話をかけないようにすることでドライバーを完全にフリーな状態にすることが大切。荷物を積んだトラックから離れることをリスクととらえる声もあるが、それは会社の駐車場でも同じ」と、トラブルのたびに行政当局に〝教え〟を乞いながら独自の会社防衛策を作り上げた。
     兵庫・播磨平野の東端地域で商売する運送事業者。ドライバーの採用に際して数年前から、試用期間に代えて「期間雇用」を導入してきた同社社長も〝アラフォー〟の年代。「1~2か月の期間雇用とすることで、その間に就職希望者の能力や適性、人間性を見極める。期間終了後に特別な理由がない限りは採用を拒めない試用期間とは違って、会社を守る意味でもメリットがある」と説明してきた社長だが、過日、若干の軌道修正を迫られることになった。社会保険の加入義務の適用除外を踏まえた「その間(1~2か月)は手続きを取らない」という取り決めが、運送事業のルールでは認められなかったのだ。
     きっかけは、2か月の期間雇用として採用したドライバーの「社会保険に入らないんですか?」という問い合わせだった。社長は「社会保険には加入の適用除外というのがあって、2か月以内の期間雇用はそれに該当する」と説明したものの、あらためて関係法令をチェック。適用除外の扱いについては間違いなかったが、意外な部分で法律違反の可能性が浮かび上がったのだ。適正化実施機関のベテラン指導員に話を聞くと「貨物自動車運送事業の輸送安全規則3条2項などに記されている通り、事業用トラックのドライバーを選任する場合は日雇いや、2か月以内の有期雇用であってはならないという決まりがある」と説明。「人材を見極めてから社会保険の加入手続きを取ろう」と考えた同社のルールが否定される格好となった。
     従前のスタイルを変える気のない同社長は有期雇用の期間を3か月に延長し、適用除外に当たらないため手続きが必要になる社会保険に加入させるなど違法な要素を消した。ところが先日、雇用問題に敏感な同社長を刺激する新しい「?」が出てきた。本紙前号でも取り上げた「年末年始及び夏季等繁忙期におけるトラック輸送対策について」とする国交省の通達に絡む内容で、「繁忙期は自家用車両を使っても構わないという趣旨らしく、レンタカー会社の営業マンが車両貸与を案内してきた」という。
     例えば、通達に記された年末年始の繁忙期は「毎年11月10日から翌年1月10日まで」とあり、その期間は2か月。運輸支局の担当官によれば「通達による対策は車両についてのものであり、乗務員(の選任規定)には関係ない」と説明。これを聞いた社長は、「2か月以内の有期雇用は認められないから、『余ったドライバーがいればレンタカーを運転させてもいい』というのが新ルールの正体。理解に苦しむが、せっかくの規制緩和。生かせる方法がないか勉強したい」と話している。

     
     
     
     

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