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    若手の雇用と育成のために 成功企業に学ぶ

    2015年3月9日

     
     
     

     ドライバー不足は年々深刻さを増しているが、業界全体の課題とされているのが若年ドライバーの確保だ。そんな中、社員のモチベーションを高め、若手の雇用と育成に成果を上げている企業がある。経営者に共通するのは「魅力ある業界にしなければ人は集まらない」という思いだ。
     藤商(加藤陽寿会長、埼玉県吉川市)は、3年前に社内にハンドボールチームを設け、若手採用と育成の核としている。HTP(ハンドボールトータルプロジェクト)事業部の田幡沙織部長は、「ハンドボールは社会人チームが少なく、続けたくても断念せざるを得ない学生が多い」と指摘する。ハンドボールチームは「若者がやりたいことができる環境をつくれば、業界にも人を呼び込むことができる」という考えのもとに始まった。


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     同社は、一昨年から高校新卒者の採用を開始。昨年から「特別入社枠」としてハンドボール経験者を優先的に雇用している。昨年は5人中4人、今年4月に入社予定の9人のうち8人が経験者だ。新卒者雇用のために、「高校に求人を出し、大会で顔を合わせる顧問と直接話をする」という。「顧問にチームを紹介することで、生徒を送り出してくれるケースもある。新卒者雇用のため、ハンドボールでの実績作りも大切」と話す。
     今年は、「先輩が入っているから安心と言って、入社を決めた人もいる」と、取り組みは広がりを見せている。さらに、実業団や大学のチームで一度は夢を諦めた若者も、同チームを知り入社している。
     入社後も同事業部でキャリアカウンセリングを行い、新卒者をサポートする。同時に、「若手の力を生かせる仕事を開拓することもますます必要になっている」という。ハンドボールチームの選手として、また仕事の担い手としてバックアップする。
     東亜物流(森本勝也社長、東京都江戸川区)では、独自の社内表彰制度が社員育成に大きな影響を与えている。
     17年前から続く社内表彰制度「トップガン」は、「その年の最優秀社員を全社員の投票で決める」というもの。「副賞の海外旅行から真っ黒に日焼けして帰ってきた受賞者を見て、皆に認められる働きをすれば、自分も選ばれるという実感が持てる。それが会社への帰属意識や参画意識につながっていく」と森本社長。「頑張ればこうなれる、という良いお手本を身近にたくさん作り、この会社で上を目指すなら、こうならなくては、と社員が具体的にイメージして動くことで社風も変わった」と説明する。
     今年は4月に入社する高校生6人、大学生1人の計7人を新年会に招き、トップガン表彰の様子を見せた。「言葉よりも、先輩の姿を見てイメージを膨らませて欲しい」と同社長は言う。歴代のトップガンは皆、幹部として同社を牽引するポジションに立っている。「若手の登竜門のようになっており、受賞者はその後も自信を持って仕事に取り組んでいる」。
     「トップガン」制度が形作ってきた理想の社員像は、幹部育成ツールとして機能するとともに、新卒で入社する若者から中堅、幹部に至るまで、キャリアにかかわらず、全社員が共有するものとなっている。「自然体ながらも皆が良い取り組みを実践していけるのは、そうした風土のおかげ」と指摘する。
     両社に共通するのは、魅力ある会社づくりで人を呼び込むという姿勢だ。さらに、呼び込んだ人材をしっかりと育成する環境や社内風土の確立で、次世代を次々と取り込むサイクルを作っている。こうした事業者の取り組みが、若者にもう一度、物流業界に目を向けさせ、業界を活性化する起爆剤となるかもしれない。
    ◎関連リンク→ 株式会社藤商
    ◎関連リンク→ 東亜物流株式会社

     
     
     
     

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