「最近、４トントラックを２台減車した。ただ、後ろ向きな理由ではなく、今のメンバーで会社の利益率を上げるため」と語ったのは、神戸市兵庫区の運送会社の社長。「売り上げ拡大を考えるとき、人・トラックを入れるのが基本だが、当社では、利益率を上げることを考え、今、一生懸命に取り組んでいるのは運賃交渉ではなく荷受け時間の確認」と話す。

同社は、地場を中心にチャーター便を多く取り扱っている。そのため、１日の配送は早朝・午前・午後の３回に分けられ、仕事を組み合わせ、効率的な配送を行っている。

同社長は「人・トラックを増やしたとき、遊ばせないために無理に仕事を入れる必要があり、悪い・嫌な仕事を受ける必要が出てくる。予備車は必要だが、ただトラックを遊ばせていると車検などでお金を取られる」とし、「良い仕事をより良くするため、運賃交渉や、荷受け時間の確認・交渉を行うようになった」とした。

荷受け時間の確認を行うようになったきっかけについて同社長は「発荷主から午前１１時３０分までに南港に運ぶように言われていた荷物があり、少し前までずっとその時間を守って配送していた。仲良くなった荷受け先の社員と話していると『午後３時までに配送してくれればいい』と言われ、発荷主にも確認してもらい、午後３時までの配送に変更してもらった」という。

「その変更のおかげで、別の仕事を早朝に入れることができて売り上げも伸び、時間にゆとりが生まれたことでドライバーへの精神的な負担も減った。荷主に細かく確認してもらうことで選択肢が広がり、荷主に対しては『時間にゆとりがあれば、よっぽどのことがない限り仕事は断らない』と安心が買えるというメリットを伝え、変更してもらえるようになった」とうれしそうに話す。

「人やトラックを増やし、売り上げを５億円にして利益率が４％である場合と、運賃交渉を進めて売り上げが２億５０００万円で利益率８％の場合では、利益の額が同じ数字になる。であれば、効率良く立ち回る方が賢い。さらに当社は、さまざまな業界の会社のチャーター便を請け負っているため極端な閑散期がなく利益を上げやすい。この方法でいけば、より良い方向に進んでいくはず」と展望を語った。