「以前はフリートの営業担当者が当社に来て、『申し訳ありませんが、数円値上げさせていただきます』というあいさつがあったが、いまは手紙１枚。先日届いた手紙には、『来月から６円値上げします』とだけ。問答無用で上げられてしまい、交渉の余地もない」と語るのは、茨城県牛久市の運送会社社長。

「運送業界は、何銭の差がモノを言う商売。１円変われば年間で数百万円は差が出る。軽油が６円上がると大型で６００リットル入れたら、一度の給油で３６００円も負担が増える」と話す。

今夏に軽油が暫定税率廃止協議の対象にならなかったことについて同社長は、「運送会社はもっと怒っていい。ストライキを起こしてもいいぐらいの理不尽な話」とし、「新たな財源として走行距離課税の話も出ているようだが、さらにおかしな話だ」と怒りをあらわにする。

和歌山県の運送事業者は、「大型７台で長距離運行を行っているが、軽油引取税の暫定税率分１７円１０銭だけでも大きな負担。これが廃止となれば、少しは経営が楽になる」と期待。「暫定とは一時的な取り決めであり、それを継続するのは法的にも問題があるはず」と語る。

大阪府和泉市の運送事業者も、「暫定税率の課税をすぐに停止し、緑ナンバーのトラックやバスに限り、使用した軽油量に応じて返金してほしい」と持論を展開。「この案が実現すれば、運賃が上がらずに苦しむ運送会社の経営悪化も避けられる」と展望する。

大阪市東住吉区の運送事業者は、「５０〜１００台規模になると暫定税率分だけでも相当な額になる。撤廃されることで息を吹き返す運送会社も多い」と話す。

大阪府堺市の海コン事業者は、「燃料価格はコロナ前と比較するとリッター３５円もの値上げ」とし、「燃費の悪いトレーラでの運行が売り上げの４割弱を占めており、高速料金や人件費などを計算すると、正直、利益は残らない」と肩を落とす。

「地場輸送のトレーラ１台の売り上げが月１２０万円。それに対し、半分以上の６５万円が燃料費と高速料金で消える。ドライバーの給与が３５万円、さらに社会保険料や車両の任意保険、アドブルーにスタッドレスタイヤへの履き替えといった経費も考えると完全に赤字」と嘆く。

そのうえで、「保有する１０台の鋼材トレーラで毎月２５０万円程度の赤字が出ており、他の車両が上げた利益は、その赤字分で相殺されてしまう」と吐露する。

約８０台で食品や雑貨を輸送する神奈川県厚木市の運送事業者は、「補助金があってもなくても、これまでの常識では考えられないほど燃料価格が高騰している」と指摘したうえで、「荷主と交渉し１５～２０％は運賃を上げてもらったが、その程度では追いつかない状況」と苦しい台所事情を明かす。

さらに、「燃料価格だけが毎月のように上昇している。この先いつまで高騰し続けるのか不安」と心境を打ち明ける。