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    ストレスチェック制度、12月から 「努力義務」どう捉えるか

    2015年11月20日

     
     
     

     今年12月から始まるストレスチェック制度。従業員50人未満の事業場については「当面は努力義務」とされており、「まだ時間はある」と対策を先延ばしにしてはいないだろうか。
     厚労省の労働政策審議会安全衛生分科会(土橋律分科会長、東京大学大学院工学系研究科教授)では、改正法案の直前まで、こうした小規模事業場でのメンタルヘルスへの対応が遅れていることを念頭に検討を重ねてきた経緯もある。それでは、中小企業の経営者は、この「努力義務」をどのように捉え、対策を行えばよいのか。
     2010年12月、労働安全衛生法の一部を改正する法律案が国会に提出された。労働政策審議会の建議後のメンタルヘルス対策の実施状況をみると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合は、11年の43.6%から、12年には47.2%に増えているが、従業員数50人未満の小規模事業場では、依然として取り組みが遅れていた。


     改正案は、その後廃案となったものの、13年2月の「第12次労働災害防止計画」策定をきっかけに、改正法案に盛り込まれていた「職場におけるメンタルヘルス対策」についても検討されることとなった。
     当初、「努力義務」の文字はなかった。修正されたのは昨年2月4日、審議会の法案要綱の答申から3月11日に閣議決定されるまでの間のことだ。法案の閣議決定前の与党内での議論で、「産業医の専任義務がないなど、体制が整備されていない小規模事業場に実施を義務付けた場合に、適切にストレスチェックが実施されない懸念がある」という意見も挙がっていた。中野雅之労働基準局長(当時)は「ストレスチェック制度の実効性をいかに高めるかという観点からの意見と考え、修正するに至った」と説明する。
     当時、新谷伸幸委員(日本労働組合総連合会総合労働局長)は「特に中小企業の取り組みの強化を目指して我々は建議をまとめた。建議の内容とも大きく異なる、後退した内容と言わざるを得ない」としながらも、改正法案が一度廃案になっているという経緯もあり「労働者の生命や健康に直結する労働安全衛生法改正法案を早期に成立させ、労働者の労働安全衛生施策を前進させるということも非常に重要」と述べている。苦渋の決断であったことが、当時の議事録からうかがえる。
     そのそも、運送業については安全衛生推進者の選任が義務付けられ、指導項目には「労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること」が入っている。努力義務だからといって、対策を後回しにしてよいということではない。
     労働安全衛生法では、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働で疲労の蓄積した労働者に対して、労働者の申し出により、事業者は医師による面接指導を実施することとされており、従業員50人未満の事業場については、08年4月1日から義務付けられている。
     小規模事業場でのメンタルヘルス対策の推進のため、厚労省では面接指導や補助事業も行っている。地域産業保健センターでは事業者や労働者の相談窓口のほか、「『ストレスチェック』実施促進のための助成金」を設けており、事業場の所在地が同じ都道府県である、複数の従業員数50人未満の事業場が、合同で同チェックを実施し、また、合同で選任した産業医から同チェック後の面接指導等の産業医活動の提供を受けた場合に、各事業主が費用の助成を受けられる。
     同チェックの実施についての助成は、1従業員につき500円。今年度分の団体登録届は12月10日まで、同チェック助成金支給申請は来年1月末日までとなっている。

     
     
     
     

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