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物流ニュース
京葉流通倉庫 箱守大輔取締役「要望に感動で応える企業に」
2016年1月28日
「祖父が脱サラして始めた倉庫業」と話すのは、京葉流通倉庫(箱守和之社長、埼玉県戸田市)の箱守大輔取締役だ。昨年6月に創業50周年を迎えた同社の根底には、倉庫業の枠にとらわれず、顧客のニーズに最大限応えようというサービス業の精神がある。県内を中心に約30拠点、トラック保有車両台数は100台を超えるまでの成長の背景には、自社でのシステム開発や最先端機器をいち早く導入するなど、顧客満足(CS)を第一に据え、新たな分野に積極的に取り組んできた実績がある。
1965年、戸田市内に倉庫を借り、保管から荷役作業までを請け負うことから始め、10年後にはシステムを導入。以後、基幹システムは全て自社開発だ。「『京葉なら』やってくれる、『京葉しか』できないと言っていただける、『なら・しかのオンリーワン』をモットーとしてきた」という同社。出版業界向けに開発したWebシステム「KーWeb」は、PCだけでなくスマートフォンなどの携帯端末にも対応し、出版社と書店、物流会社をインターネットでつなぎ、リアルタイムの情報共有を可能にした。KーWebの導入で、通常、書店から注文を受けてから納品まで2週間ほどかかっていたところを、最短3日で納品が可能になるという。
同取締役は、物流企業での拠点立ち上げなど経験を積み、8年前に同社に戻った。配属された戸田ロジスティクスセンターは、開設されたばかりだったという。出版物ではずさんな保管の倉庫も目立つ時代だったというが、同センターは「塵や埃が入りにくいよう高床倉庫にした」ほか、書籍専用のソーターを導入するなど、顧客目線でハード面の整備も進めた。さらに、「必要な時に必要な分だけ届けられる、ジャストインタイムが可能になれば、お客様が余計な保管料を支払わずにすむ」という発想で、2013年にはPOD(プリント・オン・デマンド)事業を開始した。「専用機を導入することで、重版をかけるほどではない需要に対してセンター内で1部から印刷・製本に対応できる」仕組みで、少量多品種化する消費者ニーズをサポートする。
また、食品の共同物流システムにも取り組み、製品の保管・輸送だけでなく、製造工程までを担っている。「古い倉庫を活用した施設で食品製造の許可を取った」という2004年に開設の大宮PDC(プロセス・ディストリビュート・センター)では、もともと物流を請け負っていたメーカーの製品生産・加工を手掛けている。
新たな分野や最先端の技術も積極的に導入する同社。「社内では、研究開発費と称して、先行投資も大胆に行ってきた」という。
現在、同社の物流は売り上げベースで「保管が5割、荷役・流通加工が3割、残りが輸送」という内訳。同取締役は、「三つの部門のバランスは大切」とした上で「流通加工で付加価値をつけ、お客様に喜ばれるサービスを展開したい」と考えている。
同取締役が掲げるのは、CSから一歩進んだ「CD(カスタマー・ディライト)への挑戦」だ。「お客様の要望に感動で応えられる強い企業を目指す」という同取締役。経営陣と現場の温度差をなくすため、月例の会議では現場の所長と社長が直接、コミュニケーションをとれる仕組みにするなど、「人」の強化も図る。
昨年は、羽村(2万989平方m)と笹目(4990平方m)にそれぞれ新センターをオープンした。さらに来年1月には、プロロジス北本で2フロア、2500坪の使用を開始する。現在、自社物件は約4割。「今後も、状況や立地を考慮し、自社物件にこだわらず物流不動産なども活用して顧客ニーズに応えて行く」方針だという。「なら・しか」から「CD」へと、同社の進化は続く。
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