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    既存ドライバー 定着率向上の工夫

    2015年12月19日

     
     
     

     トラックドライバー不足が続いている。新しいドライバーを雇用しなければならない一方で、既存ドライバーの定着を目指さなくてはならない。入職者より離職者が多いトラック運送業だが、その傾向は他の業界にも見られる。他業界では、どのような対応をしているのだろうか。
     厚労省の産業別入職率・離職率を見ると、運輸業・郵便業は入職率12.9%に対して離職率は13.1%と、離職超過となっている。他業界では製造業や複合サービス業も離職超過だが、逆に入職超過の業界は宿泊業・飲料サービス業、生活関連サービス業・娯楽業となっている。厚労省(雇用第一係)は「離職超過の背景は何とも言えない。毎年、変わらない傾向にあるのも事実」としている。
     また、定年以外の辞めた理由としては、「労働時間、休日などの労働条件が悪い」が最も多く10.4%。次いで、「給料等収入が少ない」(10.1%)、「会社の将来が不安」(8.6%)となっている。


     運送業と同じく離職者の多い介護業界。福岡県では介護者の離職を少しでも減らすため、「明るい介護職場づくり塾」を実施している。福岡県(高齢者地域包括ケア推進課)では、「平成26年度からスタートし、年6回の研修で専門家にアドバイスをしていただいている。県の目標は定着率1.1%向上だが、実際には10.9%も向上した」という。
     大幅な向上の背景について「研修をグループでやっていることが大きい」と指摘する。「参加者同士のネットワークを構築することができるので、研修が終わっても情報を交換できる」としている。
     また、和歌山県では、若者や女性の雇用を拡大するため「和歌山働き方改革会議」を発足させた。事務局となる和歌山労働局労働基準監督課では、「働きやすい職場の形成による定着率向上や、地域の活性化をめざしている」という。しかし、「県内に広く呼びかけているので、業界をしぼって取り組んではいない。条件は会社によって違うため、各社それぞれの取り組みを進めてもらいたい」としている。同会議ではシンポジウムによる啓発活動なども進め、意見交換などの場を積極的に作っている。
     また、早期の離職者を防ぐには、採用前の職場体験なども効果的だろう。フェデックスエクスプレス(東京都千代田区)は8月、関西国際空港のフェデックス北太平洋地区ハブに、京都市立洛陽工業高校と同伏見工業高校の生徒15人を招き、一日職業体験「ジョブシャドウ」を実施した。
     生徒は「貨物を早く届けるため、通関部の社員が辞書のような膨大な資料をもとに、素早くかつ正確に通関処理をしていて、集中力がすごいと感じた」「ジョブシャドウ後の座談会では、従業員のみなさんの学生時代から現在に至るまでの経験を聞くことができ、参考になった」と話していたという。

     
     
     
     

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