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    アルコール検査義務化から4年 悪質な手口なくならず、不正を防げ

    2016年2月9日

     
     
     

     アルコールチェックが平成23年に義務化されてから4年以上が経つ。飲酒運転の防止に一定の効果が得られたものの、最近、アルコールチェックに不正が目立つようになって来ている。この不正はトラック運送業界で発生したものではないが、鉄道やバスなど運送に関係する業界で不正が行われている。また、アルコール検知器の誤作動により自殺したドライバーもいる。年末年始では飲酒の機会が増えることもあって、飲酒運転防止へさらなる管理徹底が求められる。
     伊予鉄道(愛媛県松山市)の貸し切りバス運転者が行っていたアルコールチェックの不正を見てみたい。出張先の宿泊施設で禁止されていた飲酒が発覚しないよう、電動ポンプで検知器に空気を吹き込んでいた。
     大阪府高槻市の市営バスでの不正の場合、運行管理者が目を離したスキに同僚の運転者が身代りに検査を受けていた。東京メトロの場合も、助役10人が部下を身代りにアルコールチェックをさせていたという。同メトロでの不正は内部通報により発覚している。西鉄観光バス(福岡市)の場合は、検知器のストロー部分に穴をあけてチューブを差し込み、小型ポンプから空気を吹き込んでいたという。


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     アルコール検知器の問題は不正だけではない。誤作動の問題も大きい。京王電鉄バス(東京都府中市)では、運転者がアルコールチェックをした際、誤作動により飲酒となってしまった。同運転者は「退職せざるを得ない」と誤解し、飛び降り自殺したという。東京地裁はこの自殺を労災と認定した。
     国民生活センターにも誤作動に関する相談が増えている。「自宅のアルコールチェックでは反応が出なかったが、会社では反応が出て解雇された」(男性・広島県)や、「いつもゼロと表示されるためメーカーに問い合わせたところ、『使用開始から1年経てば使用できない』と言われた。説明書には書いてあったが、小さくてわかりにくい」(女性・福岡県)という相談もある。
     同センターのアンケート調査では、「(アルコール検知器のメーカーに)使用目的・用途を尋ねたところ、飲酒後の運転の判断として、酔いが覚めたかどうか確認のためと回答した業者はなかった」という。「商品を運転の判断に使用することについての見解」を聞いたところ、すべてのメーカーが「いかなる場合も飲酒運転、酒気帯び運転などの判断の材料に使うべきではない」「目安の一つ」「当社では責任を負いかねる」と回答し、「運転の判断に十分使える」「ある程度の目安になる」と回答したメーカーはなかった。
     また、ト協以外の業界団体では、検知器の不正使用に対して指導などは行っているのだろうか。
     大阪タクシー協会では「現段階では、そのような指導は行っていない。個々の会社が適正な使用をしていると考えている。いまのところ、不正使用防止に向けた指導などをする話は出てきていない」としている。大阪バス協会でも「特別にそういった指導はしていない。会議などでは飲酒運転の防止に向けた話も出てくるが、会員自身が自社のドライバーに教育・指導している」と話している。
     一定の効果をもたらしたアルコールチェックの義務化だが、「正しい使い方」をしてこその効果であるのは間違いない。不正使用はもちろん、誤作動で大切なドライバーを解雇するのも避けなければならない。
    飲酒運転による死亡事故 下げ止まり傾向に
     平成26年の飲酒運転による死亡事故は227件あった。14年連続して減少しているものの、警察庁では「下げ止まり傾向にある」と指摘。「平成14年以降、飲酒運転の厳罰化、飲酒運転根絶に対する社会的機運の高まりなどにより大幅に減少してきたが、同20年以後は減少幅が縮小し、下げ止まり傾向にある」としている。
     また、飲酒運転による交通事故も減少しているものの、同26年では4155件あった。交通事故件数は54万4279件で、交通事故における飲酒運転の割合は0.8%。同16年の1.7%と比べて半減しているが、こちらも同20年以降、下げ止まり傾向にある。
     警察庁では「飲酒運転の死亡事故は飲酒なしの約8.7倍で、酒酔い運転に至っては約18.3倍と極めて高く、飲酒運転による交通事故が死亡事故につながる危険性が高いことがわかる」と説明。「酒に強いと言われている人でも、低濃度のアルコールで運転操作などに影響を及ぼすことが各種調査研究により明らかになっているので、飲酒したら絶対に運転してはいけない」と、注意を促している。
     酒酔い運転は免許取り消し、欠格期間は3年で、ドライバーにとって致命的とも言える。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     
    1. 神谷 says:

      運転手ですが我が社ではアルコールチェックの偽装<事もあろうに所長や運行管理者が代わりに吹く>所長や運行管理者の目の前で同僚が堂々と代わりに吹く、アルコールチェックをしないやつがいても見逃しで上記の人間が吹き偽装をする、何処に通達すればこいつらを注意とかではなく懲戒免職できますか?

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    2. 匿名 says:

      アルコール検知器が有る分だけまだ良いですよ!内の会社は、アルコール検知器、点呼、健康診断一切有りません。監査に掛かる事も無いです。熊本の運輸局は、甘いんでしょう‼️

    3. アホな取締役に愛想がつきた says:

      日報のチェック、飲酒検知、対面点呼すらしていない会社がISO認証を受けている現実をご存知ですか?
      もちろん、受け入れ時の適性検査も無し。
      それだから、日報のチェックもしない、仕事の負荷の格差があっても給料同じ、管理者が怠慢だから社内はめちゃくちゃ、月に一度は12日程度の連続勤務は当たり前、中には40日の連続勤務を自慢するアホまで。
      私はもうすぐ辞めるからどうでも良いけど残された同僚が心配です。

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    4. 007 says:

      千葉市のゴミ収集をしている会社です。
      副社長のワンマン会社で、アルコールチェックは全くしていません。点呼表には数値0と毎日書かれています。市から委託を受けている会社がこんな事でいいのでしょうか?

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    5. ペペロンチーノ says:

      全て抜き打ち検査を一斉にやるしかない。
      検査をする時予め運送会社には通達がある。何故抜き打ち検査をするのに事前に通達するかが疑問。会社でコロナ感染者が出てから2ヶ月アルコールチェックすらしておらず。アルコールチェックすらしない方もいる。アルコールチェックは義務化されている。通報しても意味が無い。

    6. 009 says:

      チェックするどころか、機器すら置いていない会社がある。(実体験)

    7. 匿名 says:

      アルコール検査も無ければ、朝一点呼無し、終了後電話かメールでのタコグラフの入れた時間を報告!何十年も変わらない運送会社です!

    8. 違反追放 says:

      代理で点呼しているならまだましです。茨城県龍ケ崎市半田町にある泉観光は役員さん達は点呼も無しに乗務してますよ。点呼簿には事務員(家族)が適当に記載してるだけです。

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