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物流ニュース
出版産業 渡邉一矢専務 「倉庫とともに運送強化」
2016年6月15日
埼玉県西部に位置する三芳町を拠点に倉庫業と運送業を展開する出版産業(渡邉留雄社長)。創業から30年余りで年商約20億円となり、昨年末には150台規模の運送会社をM&Aするなど、さらに成長を加速させている。
二代目として、社長とともに同社を牽引するのは、渡邉一矢専務だ。「父が一人で始めた会社がここまで大きくなったのは、人が嫌がる仕事を大切にしてきたから」と話す。
「荷主の求めで、細かなニーズに対応するために倉庫を借りて作業を始めた」という創業のきっかけを持つ同社は、その後も少量の仕事や波動の大きな仕事など、他社が敬遠する案件にも取り組んだ。同専務は、「顧客の『困った』に応えて、他がやらない仕事を受けるという社長の姿勢が、対応力として認められていった」とし、「『出版さんでないとダメ』と言ってもらえるようになり、事業の拡大につながった」と分析する。
出版物の中でも、教育関連の参考書などは冬から春にかけて繁忙期となり、秋口はほとんど作業がなくなる。「繁忙期には作業人員も10倍ほどにまで膨れ上がる」というが、同社では拠点を三芳エリアに集め、こうした波にも対応してきた。「人員面も、近距離の拠点間で融通し合えるメリットを生かしている」だけでなく、拠点を一つのエリアに集めたことで「BCP面での優位性も確保している」と、同専務は話す。
10年ほど前からは、出版物のノウハウを核として、照明器具や化粧品、雑貨など仕事の幅を広げるとともに、10か所ほどあった拠点を、配車センターを含めた5か所に集約した。
同専務は、「顧客の組織変更に伴って初めて契約解除になった」と、7年前を振り返る。「それまでにない経験を経て、1社なくなったら2社取り返すというくらいの意識で、それまでなかった営業部門も新たに作った」と言い、現在8割ほどを占める出版物を中心に、その他の荷種の強化を図る。現在、約1万坪の倉庫面積のうち、3分の1にあたる3000坪が自社物件という同社。「5割ほどまでは引き上げてもよいと考えている」と、同専務はバランスを重視する。
昨年末のM&Aにより、それまで60台ほどだった保有車両数は、200台を超え、倉庫とともに運送を強化する方針だ。同専務は、「トラック不足の進行で、運送の需要はより高くなっていく」とし、「長距離のニーズにもこたえられる体制を作っていく」という。
「皆がやらないところをビジネスチャンスにしていく」と話す同専務。出版産業が創業当初から持つ「他がやらないことをやり、顧客のニーズにこたえる」という精神を受け継ぎ、次代を展望する。
◎関連リンク→ 株式会社出版産業この記事へのコメント
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