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    物流考慮の大規模建築物とは

    2017年3月6日

     
     
     

     入り口の高さ不足で建物に入れず、仕方なく路上に駐車し、キップを切られる――。このような苦い経験をしたドライバーも少なくないだろう。現在、新設の大規模建築物を対象に、物流を考慮した設計・運用が進められている。適切な台数の駐車場を整備し誘導することで、路上駐車をなくし、交通の円滑化、安全の確保を図っている事例もある。ただ、これらを実現するには全体最適が必要で、設備投資によるコスト増はやむを得ない。ビル選定の基準として費用対効果を最重視するテナントに、どこまで評価されるかと開発事業者も視線を送る。
     商業施設の集まる東京都千代田区の大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有地区)は、28路線13駅を抱え、駅乗車人数は1日139万人を誇る。地権者と行政で合意した開発指針「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドライン」を策定し、地区の将来像や整備方針図、環境・防災などのまちづくり方針についての記載に加え、地下荷捌き施設の整備などによる駐車場・物流施設の効率的かつ合理的な利用を推進するなど、交通・物流最適化に向けた記載も盛り込まれている。


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     2002年、都は「東京都駐車場条例」を改正し、地域の特性を踏まえたルール策定が可能となった。大丸有地区は買い物客の大半が鉄道利用者で、一般車の駐車スペースに空きが生じていた。そこで同地区でも2004年に地域ルールを策定。一般車の駐車施設を削減し、貨物車用駐車施設を需要推計をもとに必要台数分を増やせるようにした。
     路上駐車問題をひもとくと、駐車スペースの確保だけでなく、荷捌き施設の不足、搬出口の高さの問題、駐車時間の短縮、館内動線を確保し、物流を効率化するなどの様々な要素が絡み合っていることが分かる。特に、大型施設では1日あたり600〜700台あるといわれる納品車両のダイヤグラム作成、直納便から納品代行へのシフトや路線便の絞り込み、縦持ちの専用チームを編成してバースから館内の配送を効率化するなどの時間短縮も併せて行い、全体最適を図っていかなければ、いくら駐車スペースを増やしても追いつかない。
     とはいえ、テナントである物流事業者の視点を強く意識しながら創意工夫している物流不動産開発事業と違い、都心部のオフィスビル事業・商業施設事業は、「賃料」「立地」「スペック」など各テナントのニーズに則った施設設計・開発を行っているため、必ずしも物流事業者が要望する機能を全て充足できるとは限らないというのが開発事業者の本音である。さらに、十分な車室と荷下ろし場所、物流センターなどの平面スペース、縦動線の確保はコスト増の要因となり、物流センターの設置による収益スペースの減少、物流委託費を誰が負担するのかが明確でないことも懸念材料となっている。
     国交省の「物流を考慮した建築物の設計・運用検討会」(苦瀬博仁座長、流通経済大学流通情報学部教授)では、一定の物量が発生することが想定される用途の建築物を対象とする商業施設、オフィスビル、マンション、複合施設などで、延べ面積1万平方㍍以上の大規模建築物を対象に、今年度中の設計ガイドラインの策定を目指し、調査を進めているところだ。
     設計時における車両サイズの擦り合わせ、運用面の工夫、駐車時間を短縮し回転率を向上するための館内物流の効率化も行うことに加え、自立かつ永続的なものとするために、開発事業者、物流事業者、行政、住民・従業者などが共通認識を持ち、一体となって取り組むことが求められる。

     
     
     
     
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