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物流ニュース
トワード 友田健治社長「多温度帯物流参入への出会い」(中)
2017年3月30日
入社当時は会社が火の車で、給料ももらえなかった同社長は、「同級生が普通に働いて給料をもらっているのをみて、本当に羨ましかった」と振り返るが、それからも7〜8年は厳しさが続き、雨が降って仕事がなければ休みになり、それ以外はすべて仕事という忙しい日々を過ごした。「いっそのこと運送免許を売って会社を清算できないか」と本気で考えていたというが、仮に事業免許を売却しても借金が残るため、それもできず、ただ仕事を続けるしか選択肢はなかった。
そんな中で仕事に没頭したこともあり、徐々に業績は上向いていく。入社当時、4台だったトラックが、30歳のときには10台まで増えた。材木だけでなく、地元の野菜やコンクリートを運ぶ仕事が入り、台数を増やせたという。同社長も、この時にようやく日曜日には休みがとれたという。
その後、食品メーカーの物流子会社からも仕事をもらえるようになり、品質に対する考え方や取り組み方法、また運送会社経営のヒントなどを教えてもらいながら会社は安定する。しかし、同社長には運送会社に対する物足りなさが残った。「運送会社は技術がない。何か役に立つ技術はないか?」という思いだ。
そんな同社長は、時間的な余裕ができると積極的にセミナーや勉強会に顔を出すようになる。そこで、1人のコンサルタントに出会う。鮮度管理の第一人者であり、今のヤマト運輸を築いた小倉昌男氏のいとこでもある大竹一郎氏だった。
大竹氏の講演に感銘を受けた同社長は、さっそく同氏に弟子入りし、鮮度管理を学んだ。大竹氏との出会いは、同社が多温度帯物流へ参入し、今の同社の礎となった。まさに運命的な出会いだった。大竹氏が唱えていた「2信3略4輪5強」、2信(物流の未来を信じろ、自分の能力を信じろ)3略(高付加価値経営、ハイブリッド経営、インテクチャル経営)4輪(商品開発力、システム対応力、経営合理化力、人材育成力)5強(荷主に強くなれ=提案の強化、ドライバーに強くなれ=心理・待遇改善、トラックに強くなれ=法令や構造、運賃に強くなれ=運収と運賃は違う、システムに強くなれ=物流システムと情報システム)の教えは、今も同社長の心に深く刻まれている。
同社長は地元佐賀の仲間と共に、勉強会を企画すると、大竹氏を招いて鮮度管理を学んだ。大竹氏は関東にも門下生を抱えていたので友田社長は、関東の事業者と共に、日本コールドネット協議会(JCN)を立ち上げ、メンバーとなった。勉強会をスタートさせて2、3年後の、同社長40歳の時だ。
JCNの考えは、「運送会社が協力して、大竹理論のF&E(ファジー&エコノミカル・物流現場で品温管理や鮮度維持を経済的に実現する)システムをお客様に展開する」というもので、同社長はすぐに九州で取りかかった。42歳で社長に就任すると、新たなスタートとして社名をトワード物流に変更した。平成4年、44歳で共同配送のハブとなる400坪のセンターを吉野ヶ里町に建て、地元の事業者8社とともに、多温度帯物流における共同配送をスタートさせた。
【会社概要】
本社=佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津166ー13▽設立=昭和26年1月11日▽資本金=2億9500万円▽営業拠点=九州ハブ低温物流センター(吉野ヶ里町)、福岡低温センター(福岡県宇美町)、トワードセントラル(神奈川県愛川町)▽従業員=434人(パート含む)▽年商=70億2000万円(平成27年度)
◎関連リンク→ 株式会社トワードこの記事へのコメント
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