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物流ニュース
「運輸業の魅力伝えたい」 愛媛県の取り組み
2017年7月4日
深刻な人材不足の状況にあるトラック、バス事業者の運転者確保や、若年者の運輸業に対する理解を高めることを目的として、ある地方公共団体が取り組みを進めている。愛媛県は平成28年度から、民間の就職支援会社に委託し、パンフレットの発行や職場見学ツアーなど若年者らを対象に運輸業とのマッチング促進や理解促進に向けた事業を実施している。全国でも珍しい、県と民間がタッグを組んだ人材確保事業が注目されている。
かねて愛媛県では、県民の暮らしと経済活動を支える重要なインフラである公共交通などについて、その担い手である運転者が慢性的に不足している状況にあるとして、その対策を協議する地域交通活性化の会議が開かれており、県企画振興部地域振興局交通対策課の越智雄史担当係長は「『人材不足で相当厳しい』という多くの声を受けて立案させていただいた」と、今回の県公共交通人材確保対策事業に取り組んだ経緯を説明する。国の地方創生事業(昨年9月の補正予算)を活用して、民間の企業・団体に対して公募した結果、就職支援会社であるスイッチカンパニー(松山市)が手を挙げて、同社に委託した。
取り組みとして、今年1月に合同企業説明会を開催し、トラック、バス、フェリーのブースを設けて求職者にPRを行った。さらに、3月には「運輸業1日職場見学ツアー」を実施。1日かけてトラック、バス、フェリーの各事業者の業務現場を見学するというもので、男性11人、女性4人の計15人が参加し、日本通運松山ターミナル事業所、伊予鉄道松山室町営業所、石崎汽船を回った。参加したのは主に大学生と専門学校生で、終了後のアンケートでは「知らないことを学べた」「興味が沸いた」など一定の評価を得た。
さらに4月には、バスや鉄道、フェリーなどの公共交通やトラックなどの物流に関する業界への理解促進や、運転者・船員など運輸の現場を担う働き手の姿などを紹介し、 その魅力を伝えるパンフレットを発行し、県内の商業科・工業科を有する高等学校や県内の大学および短期大学、 若者ハローワークなど県内の就職支援機関などに5000部配布した。
パンフレットには城北運送(松山市)と一宮運輸(新居浜市)のドライバーが登場し、「無事に到着して荷物を下ろした時の達成感と緊張からの解放感は、何度味わっても良いもの」「乗り物が好きで運転が好き。だから今の仕事は最高に楽しい」など運輸業の魅力を紹介している。
県では現在、29年度の委託企業を募っており(予算総額446万7000円)、越智氏は、「昨年度と同じく説明会と見学会を行う予定で、特に女性ドライバーが活躍している状況をクローズアップした冊子を作って配布し、女性からの関心を引き寄せたい」と説明。「28〜30年度の3か年で成果を上げたい。昨今、ヤマト運輸関連の報道などで、人材不足で厳しい業界とクローズアップされているが、イメージアップを図れるよう、地道に活動を続けていきたい」と意気込みを語る。この記事へのコメント
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