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物流ニュース
助成金を上手に活用 人材不足の解消をめざす
2017年7月7日
アイマックスコンサルティングの丹澤裕太専務取締役によると、「運送事業者に限らず、助成金を活用していない中小企業は少なくない。受給した金額を他の資金に充てることもできるので、上手に活用できればメリットは大きい」と話す。
人材の確保や育成、定着に活用できる注目の助成金として、丹澤氏は厚生労働省の助成金の中から、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」と「健康診断制度コース」、人材開発支援助成金の「キャリア形成支援制度導入コース」を紹介する。
「正社員化コース」は、有期契約労働者などの非正規を、正規雇用労働者などに転換または直接雇用した事業主に対して助成するもの。有期から正規が1人あたり57万円支給(中小企業)など。
さらに東京都では、厚労省のキャリアアップ助成金「正社員化コース」に上乗せして有期から正規が1人あたり50万円(中小企業)を支給する。このように、自治体によっては助成金制度を併用できるところもある。
「健康診断制度コース」は、有期契約労働者など非正規を対象に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上に実施した事業主に対して助成するもの。1事業所あたり38万円支給(中小企業)
これについて丹澤専務は「現在、正社員は健康診断を受ける義務がある。非正規社員でも4人以上実施すれば助成金が得られるので、人材の定着という点でメリットのある助成金の一つ」と話す。
なお、非正規対象となるキャリアアップ助成金は4月1日から、これまでの3コースが8コースに再分化され、「正社員化コース」「健康診断制度コース」のほかに、「人材育成コース」「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」などがある。
「キャリア形成支援制度導入コース」は正規社員が対象で、セルフ・キャリアドック制度、教育訓練休暇制度を導入し、実施した事業主に助成するもの。制度導入助成として、47万5000円を支給する。
一方、東京ウィング社労士事務所の山田信孝代表も、「助成金を活用していない事業者は少なくない」という、その理由として「大手と違って中小企業は就業規則などがしっかりと決まっていない場合があって、助成金の対象にならないことがある」と話す。また、「初めて助成金の申請を行う場合、計画書の作成などが大変」なのも理由としてあげた。
注目の助成金として山田氏は、人材開発支援助成金の「特定訓練コース」と「一般訓練コース」、職場意識改善助成金の「職場環境改善コース」、65歳超雇用推進助成金の「65歳超継続雇用促進コース」、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」と「人材育成コース」の六つを提案。
なかでも、職場意識改善助成金と65歳超継続雇用推進助成金を獲得しやすい助成金として紹介。「職場環境改善コース」は、労働時間などの設定の改善により、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を図る中小企業事業主に対し、その実施に要した費用の一部を助成するもの。
また、「65歳超継続雇用促進コース」は、65歳以上への定年引き上げや定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度のいずれかの措置を実施した事業主に対して助成するもの。65歳への定年の引き上げで100万円支給など。
2人の専門家が提案する厚労省の助成金は、雇用保険適用事業所の事業主であることが条件で、年次にかわることもあるので注意が必要となる。初めて申請する場合は、社労士などの専門家に相談するのが無難だ。
このほか、業界団体の全ト協では若年労働者を確保するため、運送業界へ興味を促す施策として「インターンシップ導入促進支援事業助成金」を昨年に続き実施。登録事業者に高等学校以上の教育機関からインターンシップを受け入れ、3日以上から期間にあわせた助成額を支給する。
この事業について、全ト協の星野治彦経営改善事業部長は「事業者も教える立場となるため、従業員のスキルアップを図ることができるのもメリットの一つ」と話す。現在の登録事業者は186社で、これまでに35件実施している。
また、ドライバーとして採用した高等学校新卒者など若年者の準中型免許取得に対応する支援として、「準中型免許取得助成事業」を今年から開始。指定教習所などでかかる費用を助成する。
人材育成の助成金はほかにも、管理者育成支援として、中小企業基盤整備機構が運営する人材養成機関9校の講座受講促進助成制度がある。今年から、東京校のみ行っていた「利益を産み出す業務改革・トラック運送業」という講座を、旭川、三条、瀬戸、関西、人吉の5校でも実施。受講料の3分の2相当額が支給される。この記事へのコメント
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