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物流ニュース
健康経営 さまざまな団体や企業がサポート
2017年8月16日
少子高齢化が急速に進む日本で、国民一人ひとりの健康寿命の延伸と、医療費の適正化に向けて2015年7月、行政、経済団体、保険者、自治体、医療団体などの民間組織による「日本健康会議」(共同代表=三村明夫日本商工会議所会頭、横倉義武日本医師会会長)が発足した。現在、さまざまな団体が企業の「健康経営」をサポートしている。
日本健康会議の八つの活動指針の中で「健保組合等保険者と連携して健康経営に取り組む企業を500社以上とする」「協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を1万社以上とする」目標がある。
ここでいう「健康経営」とは、事業主が従業員の健康づくりを積極的にサポートして、従業員が健康で元気に働く職場を作る経営のことで、これに取り組むことで、労災事故の防止、疾病手当の支払い減少や健康保険料負担の抑制につながるほか、内外的イメージアップ、業務効率を向上し、全体的な企業価値を高めていくことが期待されている。
健康経営に取り組むための一つのツールとして「健康企業宣言」がある。「健康企業宣言」(協会けんぽの登録商標)は現在、45都道府県で展開され、これまで7300社以上が健康宣言を行っている。そのうち16都道府県で、商工会議所が協会けんぽ支部などと覚書・協定などを締結して推進している。
東京都では、協会けんぽ東京支部と健保連東京連合会が共通の方式で実施している。取り組みのレベルによって「健康企業宣言」を「金」「銀」の2段階に分類。ステップ1では、健診受診率100%の達成のほか、チェックシートをもとに、「食」「運動」「禁煙」「こころの健康など」を優先して取り組むテーマを決定し、従業員と一体となって職場の健康づくりに取り組む環境を整えていく。ステップ2では、職場の健康づくりをさらに推進するとともに、労働安全衛生分野にも取り組む。東京商工会議所の「健康経営アドバイザー制度」と連動しており、経産省の「健康経営優良法人認定制度」や、厚労省の「安全衛生優良企業公表制度」にチャレンジする基礎を作り、社会的な認知、企業イメージの向上につながる。
◇
幣紙取材で「健康診断でガンが見つかり療養中」「心臓発作により業務を中断した」などの事例を経営者から聞いた。実際に現場で支障が出た経験のある経営者から、従業員の健康管理への関心度の高さがうかがえたものの、実行に移すにあたり「何から着手すればよいのかわからない」という声が聞かれた。 このような事業者を対象に、東京商工会議所(東商)では、「健康経営」の普及・啓発、中小企業の支援を行う「健康経営アドバイザー派遣制度」を設けている。健康経営の実践に際し、「健康経営研修プログラム(上級)」を受講した中小企業診断士や社労士、保健師、栄養管理士、健康運動指導士などが健康経営実践を希望する中小企業を訪問し、企業経営者に対し「健康経営診断」「事業計画立案」「体制整備」「健康づくり施策」などの助言を行う。
実施には「健康宣言」「組織体制の整備」「健康課題等の把握」「計画策定・健康づくりの推進」「健康づくりの効果検証・改善」の健康経営の5ステップをPDCAで回していく。取り組み事例には 「階段使用の推進」「社内でのストレッチの実施」などの比較的取り組みやすいものから、 「保健師や管理栄養士による生活習慣改善指導」「分煙環境整備や禁煙プログラムの導入」 「社長や健康づくり担当者から定期検診や再検査の受診勧奨」などさまざまだ。
実施のポイントは、「できることから始める」「継続する」こと。東商の藤田善三サービス・交流部担当部長兼会員交流センター所長は「仕事内容によって取り組みは違っていい。チェックシートにあるように『食』『運動』『禁煙』など、出来るところから少しずつ取り組む。健診を受けて終わりではなく、定期健康診断の結果に関心を持ち、これをどう活用していくかが重要」と話す。
健康経営について、より詳しい情報を知りたい場合は、健保組合に相談や、もしくは東商では、会員でなくても無料でアドバイザーを派遣している。
5年、10年先を見据えた安定的・持続的な経営を実現するためにも、関係機関を活用しながら、ドライバーの健康管理に取り組む姿勢だ。
◎関連リンク→ 東京商工会議所この記事へのコメント
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