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物流ニュース
OCHIS 運送に特化したシステムで健診後をフォロー
2017年8月17日
快適な職場環境づくりで、欠かすことのできない「労務管理」。従業員の安全や健康を確保することも、企業の使命だ。社員の健康状態を知る最も有効な方法は健康診断の実施だが、健診後のフォローについては大多数の企業でさまざまな理由からできてない、または困っているのが現状ではないだろうか。
OCHISはこれまで携わってきたノウハウを生かし、トラック事業者に特化した「運輸ヘルスケアナビシステム」を構築した。全ト協の平成29年度事業で、事業者の強い味方となる同システムについて、作本貞子副理事長に話を聞いた。
高齢化などを背景に、トラックドライバーの体調不良に起因する事故が急増傾向にある中、全ト協の業務委託を受け、健診後のフォローをサポートする同システムの活用が始まる。「定期健康診断は受診するだけで精いっぱいで、フォローまで追いつかない」という事業者の声に、「何とかしなければ」という思いから構想したという。OCHISが制作した「トラック運送事業者のための健康起因事故防止マニュアル」でも、健診結果のシステム化については以前から触れていた。
「セミナーや両輪会でのアンケートでも、事業者における健康管理推進上の課題として最も多くの人が挙げたのが、健診実施後のフォローだった。健診は受診だけでなく就業上の措置までが義務。ドライバーの健康状態が見えていなければ意味がない。事業者が困っている部分を業界全体でサポートしていく方法として、システムを構築した」と話す。
このシステムには期待の声が多く寄せられた。昨年のOCHISセミナーで紹介したところ、多くの参加者から賛同を得たことから本格的に始動。国交省の協議会でも委員からの理解を得ていた。
同システムは、定期健康診断の事後措置の徹底を図る支援の一環として構築された。健康起因事故に繋がりやすいハイリスク者の可視化と、システムに基づく予防対策の推進を図りサポートを実施する。事業者から提供された健診データをOCHISが預かりデータを入力し、パスワードを発行してCDでデータを納品する。そのほか、総合的助言や保健師などの専門職による指導などを充実したサポートも魅力だ。
システムではSASとハイリスク者が一目でわかるほか、運輸に特化した情報が任意で事業者自ら入力できる。「社員の名前を外部機関に出したくない場合は、社員番号があれば問題ない。また、セキュリティ保護の観点からインターネット上の取り扱いはしない」と、個人情報流出に関しての懸念もクリアしている。また、点呼時にも活用できる。
作本副理事長が、システムの活用でつなげてもらいたいとするのが、「労災二次検診」の受診だ。脳血管・心臓疾患の発症の予防を目的とした「労災二次健診」は費用負担がなく、二次健康診断等給付を受けても労災保険料が上がることがない。「死の四重奏(肥満・高血圧・脂質異常・高血糖)や要治療の社員を早期に見つけるために、システムを活用し健康起因事故防止に努めていただきたい」
今年度はまず、「運輸ヘルスケアナビシステム」のトライアル(実証実験)を行い、6月からは本格的に参加事業者を募集する。対象は40社・約2000人。「トライアルに関しては、参加費は無料。トライアル参加事業者以外に本システム利用を希望される場合も、お気軽にお問い合わせいただけたら」と話している。
◎関連リンク→ NPO法人ヘルスケアネットワーク(OCHIS)この記事へのコメント
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