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物流ニュース
火災から物流センターを守るために 東京消防庁に聞く
2017年10月30日
埼玉県三芳町で発生したアスクル物流センターの火災は、まだ記憶に新しい。このほど、総務省消防庁から「埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会報告書」が公表されたが、「火災発生を確認した時点で119番通報が行われなかった」ことなど、初動対応の問題も挙げられている。万一の際、何をすればよいのか、何を準備しなければならないのかについて、東京消防庁予防部防火管理課の柳内宏之消防司令(写真左)と影山綾子消防司令補(同右)に話を聞いた。
「東京消防庁管内で平成27年中に発生した倉庫火災は17件。その約半数に当たる8件が、電気機器などからの出火」という。「電源コードが倉庫内の収容物などに踏みつけられた状態で使用していたり、折れ曲がった状態で使用していることで、ショート(短絡)して出火する場合や、たこ足配線や差し込みプラグとコンセントの緩みによる過熱から出火する場合などがあります。これらの火災を防ぐためには、普段から電源コード、コンセント、差し込みプラグの点検を行うことが大切です。差し込みが緩いコンセントやテーブルタップは交換してください」と指摘する。
また、「白熱電球と可燃物が接触することで出火する場合があります。倉庫は荷物を積み上げて使用していることがあるので注意が必要です。電気火災以外では、タバコの不始末による倉庫火災が2件発生しています。吸殻は水で完全に消火して捨てること。ゴミ箱に直接捨てる行為は絶対にダメです」と説明する。「これらの火災は、普段から点検を行い、出火防止に注意を払うことで防げますが、放火による倉庫火災が4件も発生しています。同庁管内では、昭和52年以降、放火が出火原因のトップ」という。
「放火による火災は夜間に発生しやすく、死角になりやすい箇所や可燃物が放置されている所などに放火されるケースが目立ちます。定期的な巡回や施錠管理の徹底、夜間の照明などの対策が求められます。放火火災を防ぐためには、敷地内への侵入防止や可燃物の整理整頓など、放火されない環境を作ることが重要」という。
また、「従業員が50人以上の倉庫では、消防法により職場内の管理的・監督的な立場の者を防火管理者として選任、消防計画を作成して防火管理業務を行うことが定められていますが、従業員が50人未満で防火管理者を置かない倉庫であっても防火対策を考えておいてください」と指摘。
「例えば、火災に遭遇した場合に適切に行動できるよう、あらかじめ任務分担を表にして決めておく方法があります。また、消火器の使い方の訓練もしてください」と説明。「実際に火災を発見した場合、まずは大きな声で人を集める。そして、119番通報、初期消火、避難誘導など、従業員で協力して対応してください。これらの行動ができるか否かは事前の準備にかかっています」という。
「東京消防庁のホームページから、防火管理実践ガイドや防火管理ポケットマニュアルをダウンロードできます。特にポケットマニュアルは従業員一人ひとりが携帯しておくとよいかもしれません」という。
同ポケットマニュアルは従業員用に書かれたもので、「経営者の方から、従業員への防火・防災教育をする際にも活用できます。まずは火災を出さないようにすること。そして万一、出火した場合は消防隊が到着するまでの間の適切な行動が求められます」と話している。
◎関連リンク→ 東京消防庁この記事へのコメント
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