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    貧困から救う「こども宅食」 ひとり親世帯の半数以上の子供が貧困に苦しむ

    2017年11月20日

     
     
     

     全国で子供の貧困が問題となっている。厚労省の「平成27年国民生活基礎調査」によると、国内で生活している子供のうち、13.9%が貧困に陥っているという。なかでも「ひとり親所帯」の貧困率は50.8%となっており、同所帯の半数以上の子供が貧困に苦しんでいる状況となっている。今回、東京都文京区からスタートした「こども宅食」。経済的に困窮する区内の子育て所帯に企業・フードバンクなどから提供を受けていた食品などを宅配するという。全国への展開をめざしている「こども宅食」について、関係者に話を聞いた。
     「こども宅食」を主催するのは、認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区)、NPO法人キッズドア(同中央区)、一般社団法人RCF(同港区)、一般財団法人村上財団(同渋谷区)、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会(同港区)と文京区。食品配送について協働するのがセイノーホールディングス(岐阜県大垣市)だ。自治体、NPO、企業が協働して食品ロスになる前の食品を活用し、資金調達には「ふるさと納税」を利用、貧困所帯に食料品などを宅配するという。
     フローレンスでは「お米や食料品を届けるという、こども宅食ですが、それだけではなく、ソーシャルワークを行っていくのが本当の目的」という。「品物を届ける際、相手に『最近どうですか』と声をかけて情報を集めます。行政だけ・民間だけでは目の届かなかったところを、官民の力を合わせてカバーしていくのが特徴です」という。


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     「配送については、ココネットを展開するセイノーホールディングスさんにお願いしています」とのことで、ココネットでは「見守り型買い物代行サービス」などを展開するなどの実績がある。「初年度は150世帯を考えていましたが、350世帯を超える申し込みがありました。それだけこの事業が必要に迫られているということでもあります」と話す。
     こども宅食で現在、悩みのタネとなっているのが「食品をストックしておく倉庫が手狭になってきていること」だ。「文京区さんからも倉庫を提供していただいているのですが、申し込みが予想を超えていることもあり、このままいくと倉庫が足りなくなりそうです」という。
     2015年現在で、7人に1人が貧困で苦しんでいるとされている。しかし、フローレンスでは「日本の子供の貧困は見えづらいのが特徴」だという。「町を歩いている子供を見ても気がつきません。親の『貧しい姿を見られたくない』という気持ちが、子供の貧困を隠すことにつながるのです。以前、貧困で苦しむ子供のために子供向けの無料食堂『こども食堂』を運営したことがあります。2年前、中央区で実施した際、40〜50世帯が利用しましたが、明らかに支援が必要だと思われる所帯は1世帯だけでした」
     それだけに「情報」を収集することが大切になる。食品を輸送する宅配事業者が家庭の玄関を確認して、会話の中から異変がないかを確かめることが重要と説明する。
     フローレンスは「従来のやり方だと、平日の昼間に仕事を休んで、知人と会うかもしれない中で、窓口で申請するとなるとハードルが高く、SOSをキャッチしにくかった。しかし、今回のサービスはペーパーレスの申し込みが可能で、宅配便で食品をダイレクトに届けることができる。ハードルをかなり下げることができた」と話す。「文京区からスタートしましたが、これを一つの成功事例として、全国に広げていきたい」としている。
    ■セイノーHD 「得意分野を生かす形、協力は惜しまない」
     「協力するきっかけはフローレンス様からお声をかけてもらったのがきっかけ」と話すのは、セイノーホールディングス・オープンイノベーション推進室の加藤徳人課長。同社のグループ会社であり、日本全国で見守り・買い物代行サービスを展開するココネットが「こども宅食」をバックアップする。
     「ココネットの配送スタッフのほとんどは女性。センターまでは西濃運輸が輸送し、ラストワンマイルはココネットが運ぶという、各社の得意分野を生かす形で事業に参加させていただいた」と説明する加藤課長。「ココネットでは『配送ではなく接客』と考えて進めて来たので、配達員に今回、改めて何かを教育する必要はなかった」と話す。
     「ココネットのクライアントの多くがスーパー事業などを展開しておられるので、配送先のお客様はそのスーパーから直接、配送されていると思われている。だからこそ、接客が大事になってくる。人と人との地域のコンシェルジュとして、声なき声を聞くことをめざしており、配送先のお客様といかに仲良くさせていただくかを常に考えて来た」と同課長。「こども宅食」をスタートさせるフォーマットがすでに出来上がっていたことは大きいと言えるだろう。
     こども宅食は9月からスタートするが、「まずは150世帯に配送する。2、3台の車両で配送するが、今後、広げていくこともできる。やり方を考える必要はあるが、全国展開することも不可能ではない」。都心部にターミナルを保有しているというハード面での強みも大きく、「目的地の近くに基地を持つ方が、当たり前だが効率的な配送ができる。インフラを持たず、地場の事業者を使って配送するやり方では難しいだろう」という。
     今後も「社会的な貢献という面からも協力は惜しまない」と話す同課長。「こども宅食」が抱える倉庫不足の不安にも、物流事業者ならではの提案をする。「たくさんの在庫を抱えてしまうと、それだけでコストがかかってしまう。作業工程をしっかりと組まなくてはいけないが、一つひとつの作業のロスをなくすことで、在庫を少なくすることができる。貧困に苦しむ子供を助けるための事業なので、少しでも多くの子供を助けるために、ムダなコストはできるだけなくしていくべき」と指摘する。
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     「正直、この日本で貧困に苦しんでいる子供がここまで多いというのは驚きだった」。物流事業者ならではの視点で、「こども宅食」事業に協力していく。
    ◎関連リンク→ セイノーホールディングス株式会社

     
     
     
     

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