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物流ニュース
物流効率化にも期待 食品ロス削減
2017年11月28日
世界的な課題となっている「食品ロス削減」。食品業界では納品期限の緩和、賞味期限の延長や年月表示化が進められている。食品ロスを削減させるだけではなく、倉庫などでの管理商品の減少や保管スペースの縮小などの物流効率化も期待できるという。また、災害備蓄用の食料などが賞味期限切れになるまでに消費しようという動きも出ており、食品ロスについての関心は高い。食品業界で実施されている「食品ロス削減」運動について調べた。
味の素AGF(東京都中央区)では、賞味期限が9か月以上の家庭用製品のうち、162品目について賞味期限表示の「年月日」から「年月」への変更およびそれに伴う賞味期限の延長を、2017年度中に約9割、2018年度中の完了を予定している。同社では「これにより製・配・販連携によるサプライチェーン全体にわたる『フードロス削減』や『物流効率化』への貢献をめざす」としている。
同様の取り組みは菓子メーカーの江崎グリコ(大阪市西淀川区)でも実施されている。同社では「食品ロスを減らすためには、消費者の皆様にご理解いただき、卸売り業者、小売り業者と一体となった取り組みが大切。流通業への納品期限の適正な見直し提言をはじめ、サプライチェーンの効率化を提案し、『もったいない』をなくすことをめざす」としている。
また、「賞味期限が長い商品については、品質劣化のスピードが遅く、消費段階で日付を管理する意味が乏しいと考えられるため、日付で表示してきた賞味期限を年月表示に切り替えるよう取り組んでいる」としている。
消費者庁では、農林水産省や環境省、厚生労働省とともに「食べ残し」対策に取り組むにあたっての留意事項を作成。同庁によると、「我が国で、本来まだ食べられるにもかかわらず廃棄されている食品ロスが年間約621万トン発生しており、このうち約339万トンが食品産業から発生している」という。
また、防災用に備蓄している食品の「食品ロス」に目をつけたのが食品ロスリボーンセンター。東京都の「平成28年度持続可能な資源利用のためのモデル事業」として、「防災備蓄食品を、物流センターを利用して減量・リサイクルし、食品ロス削減に寄与する」事業として受託された。
東京都が公表した同事業の報告書によると、実証事業では防災備蓄食品約5000箱を600以上の施設へ送付したが、1か所への配送数が少ないため、「配送の多くが、一般に路線便と呼ばれる宅配便を複数まとめた形態の物流を活用した」という。「従って、貸し切り便を利用した場合よりもコストが高くなった。また、物流コストが高くなる要因としては、受け入れ先の規模が小さく、保管場所もないこども食堂などでは、配送先が開催場所(開催日当日)もしくは代表者の自宅となることが多く、小ロットで不在も多い。その結果、宅配便での配送となり、物流コストは、社会福祉施設やフードバンクへ寄贈する場合と比較し、もっとも高くなった」という。「今後は、賞味期限の余裕や、寄贈先のネットワークをきちんと確立したうえで、動脈物流の配送便の帰り便などを活用した配送網を確保するなどの工夫が必要。また、物流業界の繁忙期と閑散期を見極めて、閑散期の引っ越しトラックなどを活用するなどの方法も考えられる」としている。この記事へのコメント
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