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    まだまだ進まぬ長時間労働改革 宅配効率化への道

    2017年11月30日

     
     
     

     「宅配便の再配達率が2割というが、現場の感覚では3割を超えている。ドライバーが必死に頑張って、そのレベルを維持している」というぐらいに疲弊している宅配業界。長時間労働が話題となって半年ほど経つが、改革は、まだまだ進んでいない。「宅配ボックスも問い合わせは多いが、普及には至っていない」という声も聞く。消費者も自身の生活に直接関わってくるだけに、関心は高い。宅配効率化の現状について、関係者に話を聞いた。
    ■トレイル 在宅自動確認「gpsトラッカー」
     「宅配の再配達率を限りなくゼロにすることも可能」と話すのは、トレイル(東京都新宿区)の奥野栄倫社長。同社が開発したのは在宅自動確認システム「gpsトラッカー」。システムを入れたスマホをドライバーに持たせるだけという同社長。「トラックが配達先へ近付いたタイミングで、自動的にセンターから配達先に電話をかける。顧客は電話で在宅か不在かを回答し、その結果はドライバーのスマホに自動で通知される」という。
     「スマホを見て、在宅の配達先を回るだけでいい。いままでは、不在なら不在票を入れるという作業を繰り返していたが、このシステムを使えば、その作業から解放される」という奥野社長。


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     年内には実証実験をスタートさせたいという奥野社長。「電話を嫌がる顧客もいるかもしれないが、再配達自体は限りなくゼロにすることが可能になる。また、事前に確認することで、女性の場合は『化粧や着替えないと出られない』ということもなくすことができる」と説明する。
     前職はコールセンターで働いており、「電話を使って効率化ができないかを考えた結果、このシステムを考えついた」という。「このシステムを使えば、効率的に配送できるので、3時間だけという働き方もでき、主婦や学生の方でも働ける」と指摘する。
     「自動で電話をかける以上、電話代がかかるが、そこにCMを入れるなどの方法も考えている」という同システム。宅配個数に占めるシェア率を5年後には20%をめざしている。「現状を変えて効率化しようということを、荷主や元請け事業者のことを考えて『なかなか言い出しにくい』という運送会社が多い。そういった考え方も変えていかなくてはいけない」とも指摘する。
    ■ナスタ 宅配ボックス「あんしん保証」
     「『住む』を良く」を使命とし、枠を設けずに、あらゆる商品やサービスを提案しているナスタ(笹川順平社長、東京都港区)では、宅配の効率化を進める一助となるよう、再配達削減を目指した取り組みに注力している。
     同社が取り組んでいるのが、宅配ボックスの普及だ。「宅配ボックスは、一家に1台が当たり前」を加速させるために今月から、業界初となる宅配ボックスの3年間「あんしん保証」をスタートさせた。
     対象商品となる戸建て宅配ボックスを購入して、ユーザー登録(無料)をすれば、通常1年の製品保証を3年に延長。さらに、鍵のトラブルに対して3年間、無償で修理(出張費や作業費も含む)するというもの。
     「宅配ボックスは一家に1台」のスタンダード化を目指して、4月から発売している新築・既設の戸建て住宅用「受け取り・発送対応宅配ボックス」の普及促進のため、アフターサポートの充実を図っている。
     同社広報室の平山浩哉部長は「アンケートによれば、利用者が購入時に一番心配しているのが鍵」という。「『あんしん保証』で、こうした部分を明確に保証することで、利用者が購入しやすくなれば」と期待している。
     宅配ボックスの販売について平山部長は、「再配達に関する一連の報道で、今年の2月から右肩上がりで伸びている。ハウスメーカーが、新築の戸建て住宅全戸に、宅配ボックスを標準装備する動きになっていることが大きい」と話す。
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     同社もハウスメーカーと提携しながら、宅配ボックスの普及に力を入れていく方針だ。平山部長は、「1万円くらいの価格の宅配ボックスを年明けに発売する予定」とし、「既存の住宅でも気軽に導入できるようモニターを募集し、意見や要望などを取り入れながら、開発を進めていく」としている。
    ■ライドオン・エクスプレス 独自のITシステム
     「銀のさら」「釜寅」「すし上等!」などのフードデリバリー事業や提携レストランの宅配代行事業「ファインダイン」を展開しているライドオン・エクスプレス(江見朗社長、東京都港区)。
     マーケティング本部の島田雄一郎チーフ(写真右)は「フードデリバリー業界も物流業界と同様に、人手不足という問題を抱えている。若年層で免許を取らない人が多いことなど、配達員の確保が困難になっている」という。
     同社では早くから、将来的に人材確保が厳しくなることを想定して、デリバリーの効率化に着手してきた。その一つが、ITによるオリジナルシステムの開発だ。このシステムは、宅配代行事業「ファインダイン」で活用されており、システムにより、配達量も1・5倍に増加。稼働率を高めることができた。
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     経営支援部の鈴木一匡シニアマネジャー(同左)は「誰でもオペレーター(店長)と同じように、レベルを下げずに配車が行えるように、現在収集しているデータを加えながら、今後もシステムの開発を進めていく」方針だ。
    ■三協運輸サービス 業務支援「C.Naviシステム」
     生活協同組合の個別配送を中心に、引っ越しや家具共同配送などを行う三協運輸サービス(小島勝己社長、埼玉県越谷市)。少子高齢化による人手不足に対応するため、同社では15年前から、業務支援システムの開発を進めてきた。
     この社内SEの技術力で開発した「C.Naviシステム」を同社では、生協に特化した業務支援システムとして活用している。「C.Naviシステム」は現在、カーナビ&PDA(携帯情報端末)による従来のものから、iphoneとipad専用のシステムへと進化を遂げている。
     開発を行った同社システム開発の徳家栄二ディレクターは「カーナビとPDAを使って案内するという従来のシステムは、リアルタイムでデータのやり取りができなかった」として、iphoneとipad専用スマートフォン版のシステムを開発。リアルタイムでデータのやり取りが可能となった。
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     このシステムを導入することで、開発当初の目的だった人手不足にも対応可能となった。
     「C.Naviシステム」は、リアルタイムに配送状況を把握し、連絡事項の一斉通知による情報伝達の迅速化などを行うことができる。そのうえ導入コストも安く抑えることができるため、システム導入に関する問い合わせも増えている。
    ◎関連リンク→ 株式会社トレイル
    ◎関連リンク→ 株式会社ナスタ
    ◎関連リンク→ 株式会社ライドオン・エクスプレス
    ◎関連リンク→ 株式会社三協運輸サービス

     
     
     
     

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