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    「荷待ち時間記録義務化」リスク高まる恐れも

    2017年10月18日

     
     
     

     国交省が今年7月1日に施行した「改正貨物自動車運送事業運輸安全規則」では、長時間労働を助長する原因である「荷待ち時間」について記録することが義務化された。また、安全規則の改正を踏まえ、標準貨物自動車運送約款が11月4日に改正されるなど、運送業界におけるドライバーの労働環境改善に向けた法整備が進んでいるが、「行政がどれだけ適正運賃や労働環境改善に向けた施策を出しても、それを受ける側の運送会社自身が対応できる体制を持っていないとリンクしない。いまだに歩合給を採り入れている経営者は、ドライバーに反映する方法が分からないのではないか。その結果、残業代未払いや長時間労働へのリスクは逆に高まることになりかねない」と、ムロタ社会保険労務士事務所(大阪府東大阪市)の室田洋一氏は指摘する。
     記録の義務化は、車両総重量8トン以上か、最大積載量5トン以上の車両を対象に荷物の集荷と配送をした場所のほか、荷待ち時間、付帯業務、及び荷積みと荷下ろしの開始時間と終了時間等を従来の乗務記録項目に加え、1年間保存するもの。
     2015年に国交省が実施した運転者約5000人に対する1日の拘束時間の調査では、 36.6%が1運行あたりの労働時間が13時間を超え、13%は16時間を上回っているという現状であり、今回の改正は、長時間労働の原因の一つになっている荷待ち時間を記録することで、その改善や追加費用を請求しやすくし、ドライバーの待遇改善と運送業界の人材確保につなげることを目的としている。


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     荷待ちを巡っては、荷主の都合で運転者を長時間待たせた上で費用を負担しない事例が多くあり、昨年12月に公取委は、こうした事例が不当取引を規制する下請法違反に当たると運用基準に新たに明記しており、今回の改正は運用基準を具体化したとも言える。
     「『荷待ち時間』とは、荷物の積み込みを行うときに、荷物の到着を待つために待機している時間であり、給与支払いの対償としての『労働時間』である」と室田氏。荷待ち時間の記録は、労働時間が正確に算出されることを意味し、荷主に対しては、労働時間への対価を含む荷待ち時間への料金を求めることになるという。
     他方、これまで行政機関は運行時間を基に監査や是正指導を行ってきたが、「今後は荷待ち時間も含めた時間を労働時間として認定することから、従来を上回る労働時間が算出され、36協定違反等のリスクは一層高まる。監査もより厳しくなるだろう」と指摘。また、ドライバーによる残業代未払いの訴えでは、その対象時間として「荷待ち時間」分が支払い対象として増加するため、「事業主は、より適正な労働時間の管理とそれに基づく給与支払いが必要と言える。給与体制を切り替えない限り、訴えられる恐れは消えない」と説明する。
     法整備により、荷主から荷待ち時間の改善や、荷待ち時間分の割り増し運賃分を確保できたとしても、運転者の待遇は従来のままでは、「今回の改正が運転者の処遇改善が目的であることから、新たな問題を引き起こすことになる」と同氏。いまだに多くの企業で採用されている歩合給や出来高給では、労働時間が給与に反映していないこともあり、「今回の『荷待ち時間』もまた、単なる売り上げの問題として処理されることが想定される。その結果、残業代未払いや長時間労働へのリスクは逆に高まることになりかねない」と警鐘を鳴らす。
     国も荷主も会社も認めた運賃を、ドライバーにどうやって還元するか。今回の改正を契機に、労働時間に基づく給与制度への変更が求められていると説明する室田氏。「荷主に要求し、改善してもらっても、受け止める運送会社側のコンプライアンスができていないと、現場のドライバーの待遇は全く変わらない事態もあり得る。国が悪い、荷主が悪いと不満をぶつける前に、運送会社自身が変わらないといけない。今回の改正は会社のためではなく、ドライバーのためのもの。長時間労働がなくなり、給料が増えるという結果につなげないといけない」と話す。
    ◎関連リンク→ ムロタ社会保険労務士事務所

     
     
     
     
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