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物流ニュース
出版流通 娯楽多様化で窮状、「特販日」設け、巻き返し
2017年11月1日
出版流通が下降傾向を見せている。2017年上半期の紙の出版物推定販売金額は前年同期比5.5%減の7281億円で、下落傾向が続いているという。書籍だけでは同2.7%減の3954億円。雑誌は同8.5%減の3327億円となっている。
出版流通のピークは1996年ごろ。書籍の販売額がピークを迎え、販売額は年間1兆1000億円あったが、現在では8000億円を下回るまで減少。月刊誌・週刊誌ともに1997年をピークに下落を続けている。出版物の販売額は12年連続してマイナスとなっているのが現状だ。
日本書籍出版協会(東京都新宿区)では紙の出版流通が低迷している現状について「いろいろと原因はあると思います。ただ、おカネを払って書店で本を購入することよりも、他の分野で楽しむ機会が増えたことも要因でしょう。少子化ということもあります」と指摘。「紙の出版が減った部分は電子書籍が伸びて、全体として横ばいと言えなくもない。しかし、国内の電子書籍の7割がコミックであり、アメリカやイギリスでは電子書籍の伸びが落ちている様子」という。電子書籍がいくら普及しても運送事業者の荷物は増えない。
また、全国出版協会(同)では「書店が減少して、スマートフォンなどの媒体が普及して、娯楽が多様化しているのも原因でしょう。以前は雑誌がメインでしたが、定期購読よりも単発にシフトしています。『火花』の大ヒットを見ても望みがある」と指摘。「また、電子書籍が普及することで紙媒体も活性化する可能性がある」という。「出版社が電子書籍で無料で閲覧させることを『立ち読み』と考えているようです。手に取る機会のない本の世界観を知ってもらって、紙媒体を購入してもらいたい考えがあるようです」としている。
マイナスを続けている出版流通だが、さらに販売拠点の多様化も重荷になっている。従来なら書店のみの配送で済んでいたが、コンビニに書籍や雑誌が置かれるようになり、物流コストが増加してしまった。2000年頃に4万店だったコンビニ数は現在、6万店を超えている。
日本出版取次協会(同千代田区)と日本雑誌協会(同)は出版流通を改善するために昨年から、「年末年始特別販売日」を設定している。同発売日は、通常は流通が止まる年末に特別販売日を設定することで、お年玉をもらった子供や長期休暇中の社員などを書店に引き込もうというもの。
昨年から実施され、「雑誌臨時増刊、ムック、コミックス約130点、約800万部、書籍新刊約70万部が全国一斉に発売された。特別発売日の雑誌売り上げは前年比 117.3%と急上昇、昨年12月29日から1月4日までの雑誌では前年同期比101.5% (取次合計POS店4069店)と大幅な減少傾向が続く中で、前年を上回ることができた」としている。
マイナスを続けて来た出版業界が急激に改善されることはないだろうが、業界をあげた新たな一手に期待している。この記事へのコメント
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