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物流ニュース
ヤマトHD 夜間専用ドライバー1万人雇用、働き方改革を経営の中心に
2017年9月29日
ヤマトホールディングスは9月28日、2019年の創業100周年に向けたグループの中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を発表した。「2025年のありたい姿」に向けて、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー事業の構造改革」「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の三つの改革の断行により、次の100年もヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤強化を図る。2017~19年度までに、夜間配達に特化したドライバー1万人の雇用に1000億円、デジタル・イノベーション対応に500億円を投資。土地、建物、荷役機器、車両などの経常投資2000億円と合わせ、合計3500億円を投資し、最終年度の2019年度は、連結売上高1兆6700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率4.3%)の達成を目指すという。
中期経営計画は2016年度末に公表する予定だったが、宅急便の急増や人手不足など経営環境の激変から、半年延期しての発表となった。
新中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」では、「全員経営を実践するための『働き方改革』」を柱とし、「多様な人材から選ばれる魅力ある人事制度に刷新する」ことで労働力の確保を目指す。
総労働時間は抜本的に見直し、正社員(フルタイマー)の残業時間を50%削減するとともにパートタイマーの残業時間も大幅に抑制する。労働時間、休日、給与体系が選べる新人事制度を新たに構築するほか、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度、育児支援策の拡充を進め、「社員のケアに目が行き届く管理者の配置」を拡充する。
また「個の力」を最大化するため、「社員の声」を経営に生かす仕組みを確立させ、ダイバーシティのさらなる推進による外国人、高齢者、女性の活躍を推進。障がい者雇用率は2.5%以上を目指す。さらに、オープン型宅配便ロッカー(PUDO)、8次NEKOシステムによる集配オペレーションの効率化、AIやロボット技術など最新テクノロジーをフル活用し、「働きやすさ」の基盤となる業務の徹底的な効率化を実現する。
「デリバリー事業の構造改革」では、新たな「複合型ラストワンマイルネットワーク」を構築。現行の宅急便の「多機能型ドライバー」に加え、投函商品や夜間配達を専門に行う「配達特化型ドライバー」のネットワークを新たに構築する。
配達特化型ドライバーの勤務時間は午後2時から同9時までの7時間で、契約社員を基本にパートなどで拡充。2019年度までに全国1万人の配置を見込んでいる。
また、大口顧客の商材や大型荷物を専門に扱う「域内ネットワーク」など、パートナーを含めた分業型・複合型ネットワークを整備し、伸長が続くECをはじめとした荷物の増量に対応していく。
また、契約運賃の決定プロセスを標準化するため、出荷量だけでなく、行き先やサイズ、集荷方法、不在率、さらに燃料費や時給単価など外部環境変化によるコスト変動まで組み込んだ「法人プライシングシステム」を確立し、恒常的に契約運賃を見直すことで、将来の環境変化にも柔軟に対応できる適正な運賃を設定する。大口法人との契約見直しで、2016年度に18億7000万個だった宅急便の取扱個数は18年度末までに17億7000万個にまで減少させるが、ネットワークや人材への積極投資、プライシング戦略などで19年度には18億4000万個に再拡大。その後も増加させる。
「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」では、羽田クロノゲート、厚木・中部・関西の各ゲートウェイ、アジアを中心とするクロスボーダーネットワークを有機的に結び付け、従来の「バリュー・ネットワーキング」構想をさらに進化させる。業界プラットフォームをはじめ、日本、東アジア、東南アジア、欧州、米州の5極間をつなぐクロスボーダーネットワークを構築。ヤマトグループならではのアカウントマネジメントを推進するほか、EC向けプラットフォームの構築でECサプライチェーン全体への付加価値提供を目指す。
「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」では、グループの総合力を発揮し「稼ぐ力」を高めるため、「機能別組織」から「顧客軸組織」、「個別最適」から「全体最適」、「自前主義」から「オープン主義」などの変革を実行。アカウントマネジメント、管理会計、人事(評価)の三位一体の経営システムに刷新する。
新中経計画とともに「2025年のありたい姿」を設定。「ヤマトグループは『輸送を起点』に『地域社会』や『国内外の企業』との接点と、そこで得られる情報を強みとして『オープンなプラットフォーム』を構築することで『新たな価値』を創出する」とした。
同日開かれた記者会見で、山内雅喜社長は、前期中経計画(DAN―TOTSU経営計画2019)を振り返りながら「Eコマースなどの小口貨物の増加や労働需給の逼迫に体制構築が追いつかず、第一線の社員の労働環境が悪化するなど大きな課題を残した。体制を作り直し、次の100年に向けた成長をいかに実現していくかで今回の計画を策定した」と説明。「われわれには社会的インフラとしての使命がある。働き方改革を実行し、社会、社員に利益を還元していく。世の中の豊かな暮らしに貢献できる企業グループであり続けたい」と述べた。
◎関連リンク→ ヤマトホールディングス株式会社この記事へのコメント
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