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物流ニュース
大塚倉庫と日本ケミファが共同物流を開始
2017年12月22日
いままでの医薬品輸送の常識を再構築し、業界の標準化をめざしている企業がある。大塚倉庫(大阪市港区)だ。国内の50%を超える輸液を輸送する同社が、先陣を切って物流改革を実施している。今回、同社が日本ケミファ(東京都千代田区)と西日本エリアで共同物流をスタートさせたが、ジェネリック薬品をメインに扱う日本ケミファと業務提携した背景と今後の動きについて、同社に話を聞いた。
大塚倉庫と医薬品メーカーの日本ケミファはこのほど、西日本エリアの物流について業務提携を発表。10月23日からスタートさせている。日本ケミファは物流センターを埼玉県春日井市にしか保有しておらず、大塚倉庫の神戸市にある物流センターを利用することで、四国・九州地区へのリードタイムを1日短縮させることに成功している。
同社の溝内順一営業本部長は、「国がジェネリック薬品の普及率を80%にしようとしている現状を考えれば、ジェネリック薬品の輸送はいずれ危機的な状況に陥ることは予想できる」と指摘。「現状の医薬品輸送は『自分たちで何とかしよう』とする考えがいまだに強い。自分たちが作って保管、輸送して手渡すという考え方に縛られている」という。
しかし、「ジェネリック薬品が普及して輸送量が増加すれば、自社配送だけでは手に負えなくなることは目に見えている」という溝内本部長。「こちらが考えていた不安をメーカーサイドも抱えていた。当社から共同物流を提案させていただいた」という。
同社では医薬品輸送業界全体を考えた共同配送を考えている。人手不足に陥っている運送業界の現状についても理解し、同社では物流センターの荷待ちについて「予約制」を導入。それまで長蛇の列をなしていたトラックをなくすことに成功。
同社関係者が朝一番で荷下ろしを終えたドライバーに「早く荷物が下ろせてよかったね」と声をかけた際、「はい。昨日の夜8時から並んだ甲斐がありました」と返事をされたことがきっかけだったという。あまりの長時間労働に驚いた関係者が物流センターの荷待ち改善を進めた。
同社ではネットで簡単に荷下ろし時間を予約できるシステムを導入。物流センター前の光景を一変させることに成功した。しかし、この取り組みだけでは同社物流センターの荷待ち時間は改善できても、業界全体の荷待ちの長時間化を改善することはできない。業界全体の標準化の重要性が明らかになった。
業界内の物流標準化への取り組みの一つとして、溝内本部長は「全国的なネットワークを構築している当社の物流システムを利用していただくことで、業界内の物流を飛躍的に効率化することができる。SCMを管理する人材を確保することも負担になっており、『作って、売る』ことに専念できれば、無駄なコストを省くことができる」という。
「食品業界では以前からそれを進めており、医薬品輸送の分野では、まだ自前での輸送にこだわっている企業が多い」という同本部長。「もっと、丸投げしていただけるところはしていただきたい。当社の物流センターまで輸送していただければ、残りの輸送・管理はすべて任せていただくことができる。今後はこのような形態の物流システムが増えてくると考えられる」という。
同社では「物流を川上から川下までふかんの視点が必要」と考えており、「この問題を解決するポイントは荷主側にある」とも考えている。メーカー同士で共同化の仕組み作りが重要としている。
医薬品輸送には厳格な品質管理が必要であり、メーカーそれぞれがその管理と物流効率化を進めている現状を変えようとしている大塚倉庫。医薬品という安定供給が絶対的に必要な分野の輸送の標準化を確立するため、業界あげての参加を呼びかけている。
◎関連リンク→ 大塚倉庫株式会社この記事へのコメント
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